上海「科創板」への重複上場計画発表、再評価の契機に

現地コード 銘柄名
03898

株洲中車時代電気

(CRRCタイムズ・エレクトリック)

株価 情報種類

25.90HKD
(10/5現在)

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 株洲中車時代電気はこのほど、上海証券取引所のハイテクイノベーション・ボード「科創板」に上場する計画を明らかにした。最大でA株2億4,000万株を発行する予定。これは現在の発行済み株式総数の20.5%に相当し、IPO(株式の新規公開)後の株式総数の最大17%に当たる。調達資金は主に、研究開発プロジェクトと運転資金に充当する方針という。BOCIはA株上場計画が同社に対する再評価を後押しするとの見方。また、同社のIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:電源電力の制御や供給を担う半導体素子の一種)生産ラインが世界最先端の高電圧半導体動力製品を供給していることなどを高く評価し、現在の生産環境の下、同社株価は本来、プレミアム・バリュエーションに値するとした。目標株価までの上値余地に言及し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 A株IPOでの調達資金は正味78億元前後に上る見込み。軌道交通のけん引ネットワーク技術や、スマート鉄道、都市鉄道の主要技術をはじめとする各種の研究開発プロジェクトに充当する。

 同社は鉄道に限らず、汎用産業分野の主要部品サプライヤーとして成長しつつある。鉄道車両向けのけん引システムにとどまらず、すでに電気自動車(EV)や送電網などの主要製品の供給を手掛ける。この先、同社製品の出荷先は電力の利用あるいは伝達を必要とするさらに広範な分野に広がる可能性があるという。EV乗用車向けの電力制御システム供給量は19年に2万5,000台だったが、BOCIは20年には倍増するとみている。

 IGBTの第2生産ラインは21年初めに稼働を開始する予定。この新規ラインの年産能力は、電圧1,200V以下が計24万個で、主にEV向けに供給する。第1生産ラインは主に、機関車および都市鉄道車両向け。BOCIは第2ラインの稼働に伴う、生産効率の改善を見込む。

 BOCIは同社株価の再評価につながるとみて、A株上場計画を前向きに受け止めている。現在の地政学的環境やA株への重複上場計画を考慮すれば、主要テクノロジーのサプライヤーである同社株価は、プレミアム水準に値するとの見方。利益見通しや目標株価を現行水準に据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。