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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。9月の『街角景気』は、現状判断指数(DI)が5カ月連続で改善し、家計動向、企業動向、雇用がすべて改善しました。先行き判断指数(DI)は2カ月連続で改善しました。

【ポイント1】現状判断DIは5カ月連続改善

先行き判断DIも2カ月連続改善

 9月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比5.4ポイント上昇し49.3と5カ月連続の改善となりました。新型コロナの感染再拡大がやや落ち着きつつあることやGo To トラベルの影響などからあらゆる分野が明るさを取り戻してきていることがうかがえます。項目別では家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てが改善しましたが、家計動向関連の飲食、住宅などの改善が目立ちました。

 先行き判断DIも、前月比5.9ポイント上昇し、48.3となりました。Go To トラベルに強い期待を示す声が多く、現状判断と同様に、項目別では全てが改善しました。

【ポイント2】現状はポジティブな単語が増加

先行きは旅行関連などへの期待が高い

 街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、ポジティブな単語の使用比率がネガティブな単語を2カ月ぶりに上回りました。「キャンペーン」という用語が急増し、旅行関連需要回復の好影響を指摘する向きが多くなりました。新型コロナに対する用語は軒並み減少しています。

 先行き判断では、ポジティブな単語の使用比率がネガティブな単語を5カ月連続で上回り、現状判断と同様に旅行関連需要回復への期待値の高さを示す結果となりました。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

【今後の展開】新型コロナの感染動向に懸念も、先行きに期待

 内閣府は『街角景気』の基調判断を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直している」と先月の「持ち直しの動きがみられる」から変更しました。先行きについても「感染症の動向を懸念しつつも、持ち直しが続くとみている」と先月の「持ち直しへの期待がみられる」から変更しました。新型コロナの感染拡大については予断を許しませんが、『街角景気』からみると先行きへの期待は高まっています。