1銘柄の追加に幾らかかるか

 2020年10月2日時点の東証一部上場銘柄の株価の単純平均は、全銘柄で2,197円、大型株で1,473円だ。単元が100株の銘柄が多いことから、大型株を1銘柄買うのに約15万円掛かるとめどが付く。3銘柄だと45万円なので、50万円近いお金を投資に回せないと個別株投資を始められないことになる。

 生活のための資金をある程度確保しておかなければならないことを考えると、若いサラリーマンなどにはハードルが高いと感じられる場合があるかも知れない。

 どうするか、と思案した時に良いアイデアがあった。

インデックス投資家の「リレー投資」

 かつて、インデックス投資家の間で「リレー投資」と呼ばれた方法があるのだが、この方法を個別株投資に応用するといいと思い至った。

 インデックスファンドのリレー投資とは、公募の投資信託で積立投資を行い、まとまった額になるとこれを解約してETF(上場投資信託)を買い付ける方法を指す。10年くらい前に遡ると、信託報酬は公募の投資信託よりもETFの方が安く、両者にそれなりの差があったために、手数料を節約する方法として一部の個人投資家が編み出して愛用した。

 その後、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)がスタートした影響もあって、公募のインデックスファンドの手数料引き下げ競争が起こり、ETFとの信託報酬の差が殆どなくなったので、この方法は話題にならなくなった。

 インデックスファンドのリレー投資で節約できる手数料は、率直に言って当時からそれほど大きなものではなかったが、(1)毎月積立投資で投資額を増やしていく習慣、(2)リターン獲得の機会を失わないこと、(3)手間を掛けることによるポートフォリオへの愛着、などの点で良い方法であると筆者は思っていた。