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 日米の気象当局は9月10日、『ラニーニャ現象』が発生したとみられると発表しました。『ラニーニャ現象』によって世界的な異常気象発生の可能性が高まり、日本では冬季の平均気温が例年より低くなるとみられます。気温の冷え込みを受けて、冬場にかけて衣料品購入など消費活動の盛り上がりが期待される一方で、新型コロナウイルスの感染が広がるリスクには注意が必要となります。

【ポイント1】『ラニーニャ現象』が3年ぶりに発生

 気象庁と米気象予報センター(CPC)は9月10日、『ラニーニャ現象』が発生したと発表しました。『ラニーニャ現象』は赤道付近の海面温度が平年より低くなる現象で、地球全体の大気の流れが変わることにより異常気象を招くとされています。気象庁によると、前回発生したのは2017年秋から2018年春にかけてであり、今回の発生は約3年ぶりです。

『ラニーニャ現象』によって、一般的に日本は夏の気温が平年よりも高めとなる一方、冬の気温は平年よりも低くなる傾向にあると言われています。そのため、『ラニーニャ現象』が続いた場合、今年は厳冬となる可能性が高まりました。

【ポイント2】家計消費押し上げへの期待も

 厳冬の影響として、冬物の衣料品や暖房器具などの購入が増加することが予想されます。

 統計局公表の家計調査によると、前回『ラニーニャ現象』と認定された期間中の2017年10-12月期の家計消費(除く住居等、実質ベース)は前年比+0.7%、2018年1-3月期は同+1.2%と2019年までの10年平均である同▲0.6%を上回りました。

 実際に、衣料品関連項目(2018年1-3月期:同+1.7%)や家具・家事関連(同+3.6%)だけではなく、光熱・水道費(同+4.1%)など幅広い項目が影響を受けたことがうかがわれます。

【今後の展開】新型コロナウイルス再拡大には注意

 こうした厳冬による景気の押し上げ効果が期待される一方で、過去の『ラニーニャ現象』はスペイン風邪(1918~1920年)など代表的なパンデミックに先行して発生している点も指摘されています。

 全ての事例がパンデミックにつながっているわけではありませんが、新型コロナウイルスが依然収束しない足元の状況下においては、感染再拡大が経済停滞を招くリスクには注意が必要です。