第三者割当で26億HKドル調達、長期的なEPS押し上げ効果に期待

現地コード 銘柄名
00968

信義光能控股

(シンイー・ソーラー)

株価 情報種類

10.26HKD
(9/3現在)

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 信義光能は第三者割当増資で総額26億HKドルを調達する計画について情報を開示したが、BOCIはこの増資による短期的なEPS(1株当たり利益)の希薄化が3.45%である半面、長期的に10%を超えるEPSの押し上げ効果が期待できるとしている。22年以降、少なくとも日産2,000トン規模の生産能力の拡大が見込めると同時に、太陽光発電用ガラス市場における同社のリーダーシップがさらに強固になるとの見方だ。また、同ガラス事業のシクリカル(景気敏感型)な性質が薄らぐ中、今後はバリュエーション面でより強気の評価が進むと予想。20-22年の利益見通しを5-17%増額修正するとともに目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気の見方を継続した。太陽光発電のバリューチェーン銘柄の中で、同社をトップピックとしている。

 同社は今回、新株2億8,200万株を1株当たり9.44HKドルで割り当てるが、この価格は直近の2日終値を8%下回る水準。EPSはこの増資により、3.45%希薄化する。ブルームバーグの報道によれば、同社は調達資金を太陽光発電用ガラスの生産能力拡大や運転資金に充当する方針という。BOCIは同ガラスの生産ライン1本当たりの設備投資額が通常、約8億HKドルであるとし、少なくとも2本、多ければ4本の新規ラインが22年以降に稼働を開始すると予想。現在の収益性をあてはめた場合、ライン2本が全面稼働する23年以降、10%超のEPS上乗せ効果が見込めるとしている。

 一方、太陽光発電ガラスの生産者らは9月に値上げを実施。厚さ3.2mm、2.0mmの1平方メートル当たり価格を、それぞれ30元、24元引き上げた。これは最近の原材料コストの高騰(特にソーダ灰)を十二分にカバーできる値上げ幅であり、同社の粗利益率をさらに押し上げる見込み。BOCIは同社の平均販売価格に関する20年下期、21年の想定値を上方修正し、予想粗利益率を42%、43%に設定している。

 ガラス生産者らの積極的な設備増強計画にもかかわらず、BOCIは今後2年にわたり、供給ひっ迫感が続くとみる。その理由は【1】各国の金融緩和や良好なLCOEレベル(均等化発電原価、発電量当たりコスト)、ILR(インバーター負荷率)の上昇を背景に、世界の太陽光発電需要が21-22年に上向く見通し、【2】強化型デュアルガラスの普及を受け、太陽光部品のうちガラスの需要伸び率が唯一、モジュールを上回る見通し、【3】高効能の薄型ガラスを生産できるメーカー数が限られること。不測の事態が起きない限り、同ガラスの平均販売価格は今後2年間、健全な水準を維持する見通しという。

 BOCIはSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づき、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを据え置いた。新たな目標株価は、21年予想PER(株価収益率)で23倍の水準。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、太陽光発電需要、あるいはガラスの平均販売価格が予想を下回る可能性を挙げている。