この先、何が起きるのか

 上記のように、収益の面で、銀行は稼ぐことが難しくなっています。では、このまま銀行は衰退していくのでしょうか。筆者の考えは、「No!」です。

 世の中、顧客データが宝の山で、それを握ったものがビジネスを制するという考え方が広がっています。その考え方に立てば、預金という日本人のコアマネー情報を握る銀行は、ある意味、最高の顧客データの持ち主で、それを活かしたビジネスをすれば、まだまだやっていけると筆者は考えます。

 もちろん、ビジネスモデルの変革は不可避です。筆者の考える銀行の生き残り策を書いてみました。

  1. ATMからの現金引き出し時の手数料や振り込み手数料をゼロにする代わりに、口座残高に応じた口座維持手数料を取るようにする。
  2. 貸出業務や、投資信託の販売業務等を自前のビジネスとせず、外部業者のサービスへとつなぐ仲介業者として手数料を取ることに徹し、自前でやる場合にかかるシステム投資費用や人件費を大幅に削減、あるいは完全にゼロにする。
  3. 有価証券投資も、外部の専門運用会社に任し、自前での運用は一切止める。
  4. IT技術を使い、資金決済を始め、お金のやりとりに係る業務を効率化、省略化するサービスを取引先企業に提供し、コンサルティング手数料で稼ぐ。

 どれも実現は簡単ではありませんが、不可能ではないと思います。

 ただし、すべての銀行が変革できるとは思いません。経営統合で消えていく銀行、変革できず、そのまま廃業になる銀行も出てくると思います。

 今回は、銀行経営の先行きという観点から、銀行預金は安全かを検討してみました。あくまで筆者の私見ですが、「生き残るための変革を行う銀行ならその預金は安全、何もせず動かない銀行ならその預金は安全ではない」と考えます。

 最後に前回と同じことを書きますが、この世に絶対安全なものはありません。安全を追求するのであれば、預金だけでなく、投資という手段も使い、資産を分散しておくことを検討してみてはいかがでしょうか。