投資の参考銘柄

 日本の化学大手は、日本国内で見ると大企業かもしれませんが、国際比較するとどれも規模が小さい小粒の化学株となります。規模のメリットで欧米の化学大手にかなわないし、コスト競争力ではアジアの化学大手にかないません。

 したがって、汎用化学品では、競争力がありません。例外は、塩ビで世界トップ、高い競争力を有する信越化学(4063)くらいと思います。信越化学は、半導体シリコウエハでも世界トップで、今買っていきたい化学株の1つです。ただし、配当利回りが1.75%と低いので、今日のレポートのテーマである「高配当利回りの景気敏感株」には入れていません。 

 日本の化学株は、株価バリュエーションで割安なら何でも買い、というわけにはいきません。今述べた通り、日本の化学株は大手でも国際比較で小規模なので、汎用品ではまったく競争力がありません。小粒でもピリリと光るもの、つまり、電子材料・医薬品・農薬・その他スペシャリテイケミカルといった、高付加価値品で高い競争力を有する化学株にしぼって投資すべきと考えています。

 具体的には、クラレ(3405)住友化学(4005)三菱ケミカルHD(4188)は、高配当利回りの化学株として買っていって良いと考えています。また、川上~川下まで一貫生産能力を有する石油精製トップのENEOS HD(5020)も、高配当利回り株として、投資する価値があると考えています。

配当利回りの高い化学・石油株:投資の参考銘柄

コード 銘柄名 株価:円 配当利回り PER:倍 PBR:倍
3405 クラレ 1,084.0 3.7% 28.6 0.72
4005 住友化学 347.0 3.5% 28.3 0.62
4188 三菱ケミカルHD 616.6 3.9% 17.8 0.75
5020 ENEOS HD 411.0 5.4% 33.1 0.59
出所:配当利回りは、今期1株当たり利益(会社予想)を9月2日株価で割って算出。PERは、9月2日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。今期とは、2021年3月期のこと。各社決算短信より、楽天証券経済研究所が作成