化学・石油株は、原油市況が底打ちして緩やかに上昇する局面で利益が回復

 化学・石油株の業績は、原油が急落した直後に大きく悪化し、原油が底打ちする局面で急回復【注】します。

【注】原油価格変動と、化学・石油株の業績の関係
 原油が急落すると、化学産業の原料ナフサや石油化学製品の市況も同時に下落します。ところが、化学会社は、いつでも一定の原料在庫を抱えています。高値の原料を抱えたまま、製品価格が下がってしまうので、在庫評価損が発生し、業績は悪化します。ただし、原油が急落してしばらく経過し、原油が底打ちする局面で、利益が回復します。高値の原料在庫が無くなり、安値の原料を使うことができるようになったところで、化学市況が上昇するので、そのメリットをフルに取れるようになります。石油精製も、同様の理由により、原油が緩やかに反発する局面で、業績が急回復します。

 コロナ・ショックで急落した原油先物価格は、今緩やかに上昇しつつあります。したがって、足元、業績が急激に悪化した化学・石油株は、これから緩やかに業績回復に向かうと考えられます。

WTI原油先物(期近)推移:2000年1月~2020年9月

 簡単に、2000年以降の原油市況の変動を振り返ります。2000~2007年まで、ブリックス(中国・インド・ブラジル・ロシア)など新興国の成長にともなう需要増で、原油を始めとした天然資源価格は、のきなみ急騰しました。ところが、2008年にリーマンショックが起こると、急落しました。

 その後、世界景気回復で急反発したものの、2015年末にかけて米国シェールオイル増産による供給増と中国景気の悪化(チャイナショック)によって、再び急落しました。

 2016年以降は、緩やかに回復しつつありましたが、2020年に再び、コロナ・ショックで急落しました。今まだ、世界景気の低迷は続いていますが、原油価格は底打ちしつつあります。今後、中国に続いて、米国の景気が持ち直す期待を織り込みつつあります。

 化学・石油株は、原油市況が底打ちして、緩やかに上昇していく局面で、利益が回復するので、これから利益・株価も回復していくと考えられます。株価が急落した後、あまり戻っていないので、今が投資機会として良いと判断します。

 世界景気がもう少し明るくなってから投資しないと不安と考える方もいますが、世界景気が明るくなった時には株価は上昇した後となる可能性が高いと思います。世界景気が暗いうち、株価が割安と判断できる間が、投資の好機と考えます。