20年中間期は引当前業務純益が2桁増、不良債権は増大傾向に

現地コード 銘柄名
00998

中信銀行

(チャイナ・シティック・バンク)

株価 情報種類

3.35HKD
(8/28現在)

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    中信銀行の20年6月中間決算は、純利益が前年同期比9.77%減の255億4,000万元と、BOCIの予想を16%下回った。引当金が予想以上に膨らんだためで、引当前の業務純益は14.4%増と、ほぼ予想の範囲内だった。主に業務規模の拡大やコスト管理の効果、非金利収入の伸びなどが、実質2桁の利益成長を支えた要因。純金利マージン(NIM)も4-6月に、前四半期比でやや改善した。ただ、期中の平均ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)は11.34%、0.76%と前年同期比2.39ポイント、0.17ポイント低下した。BOCIは目標株価を引き下げつつ、株価の先行きに強気見通しを継続した。

    20年6月末時点で、資産、負債、貸出、預金は前四半期比0.7%増、0.8%増、1.4%増、3.9%増。資産側の貸し出しの増加と負債に属する預金の増加がいずれも、業務規模の拡大を後押しした。NIMは中間期に1.99%と、19年比で0.13ポイント低下。実体経済への支援政策を受け、1日当たり平均NIMも1.99%と、19年比で0.12ポイントダウンした。四半期別では、期首と期末の残高に基づく4-6月期の平均NIMが約1.90%と、前期を0.02ポイント上回る数字。主に預金コストの効果的な管理が寄与した。

    一方、延滞債権の急増を受け、20年6月末の不良債権残高は3月末比で3.3%増。不良債権比率は1.83%と0.03ポイント上向いた。また、貸出残高に占める要注意債権の比率は2.55%と19年末比0.33ポイント上昇。不良債権に占める3カ月以上の延滞債権の割合も87.2%と11.4ポイント上昇した。半面、不良債権カバー率(不良債権に対する貸倒引当金の比率)は6月末に175.72%と、3月末比で1.65ポイント低下している。

    上期の役務取引等利益(純手数料収入)は、調整済みベースで前年同期比5.9%増。マイナス成長となった1-3月から、12.6ポイント改善した。代理手数料に加え、カストディアン(有価証券の保管・管理)およびその他信託ビジネスの委託手数料の伸びが背景。うち代理手数料は前年同期比37.3%増。代理販売業務を強化する営業戦略を背景に、代理資産管理ビジネスが成長したことが寄与した。

    6月末の自己資本比率を見ると、コアTier1(狭義の中核的自己資本)、Tier1(中核的自己資本)、CAR(自己資本比率)がそれぞれ8.90%、10.29%、12.57%と、3月末比で0.10-12ポイント低下した。ただ、同行は8月にTier2資本性債券の発行で400億元を調達しており、この分が今後、自己資本に反映されることになる。

    BOCIは引当金に関する想定値の引き上げに伴い、20年、21年の予想EPS(1株当たり利益)をそれぞれ13.8%、5.2%減額修正した。また、算出基準を20年予想PBR(株価純資産倍率)0.38倍から0.34倍に下方修正した上で、目標株価を引き下げた。不良債権の拡大トレンドを受けた投資家のリスクオン姿勢が背景。ただ、同行の現在株価は0.28倍の水準にあり、株価の先行きに対しては引き続き、強気見通しを付与している。