20年上期に赤字転落も主力事業が回復基調、強固なビジネスモデルを評価

現地コード 銘柄名
00696

中国民航信息網絡

(トラベルスカイ・テクノロジー)

株価 情報種類

15.14HKD
(8/28現在)

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 トラベルスカイ・テクノロジーの20年6月中間決算は、売上高が前年同期比40.5%減の22億8,700万元と、BOCIの予想を14.5%上回った。ただ、予想信用損失(ECL)が7億元に上ったことで、「その他営業経費」が677%増え、総営業経費は17%増。その結果、純損失は3億2,300万元(前年同期は14億2,300万元の黒字)と、経営陣が事前に示した赤字見通し(2億5,000万-3億1,000万元)以上に悪い数字となった。予想信用損失を除外すれば、営業経費は14%減で、中間決算は黒字となる。一方、新型コロナの感染拡大が痛手となり、中間期の航空券予約数は58%落ち込み、関連収入は48%減。ただ、中国国内の航空需要はすでに回復傾向にあり、7月には旅客数が前年同期の7割強まで戻した。BOCIは今後も回復トレンドが続くと予想。同社のビジネスモデルの安定感を前向きに評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 6月中間期の売上高のうち、主力の航空情報技術(AIT)サービスの収入は前年同期比55.2%減の9億9,600万元。平均販売価格が1.7%上向く一方、パンデミックが直撃し、同部門の予約件数は55.9%減少した。また、多額の予想信用損失の計上以外に、減価償却費がかさんだことも全体の営業経費の増大要因となった。

 20年上期は業績悪化が鮮明だったが、BOCIは国内線業務の回復を受け、同社の業績見通しを楽観視している。同社は中国国内の航空券予約処理業務の98%以上を握る独占企業であり、短期的にその地位は揺るがないとみられるため。また、システム統合サービスなど、AIT以外の一部事業に関しては新型コロナの影響が限定的であることも楽観見通しの理由という。21年には国内線業務がほぼ正常化し、国際線も初期的な回復局面を迎えると予想。続く22年には、同社利益がコロナ前の19年のレベルを回復するとみている。

 BOCIは7億元に上る予想信用損失を反映させる形で、20年の予想純利益を13.7%下方修正した。ただ、同時にAIT以外の事業部門の収入見通しを引き上げたため、下方修正幅は相対的に小幅となった。続く21年、22年に関しては、それぞれ1.7%下方修正、1%増額修正と、小幅の調整を加えている。

 一方、BOCIは目標株価を現行水準に据え置いたが、これは20年の利益見通しの下方修正がDCF(ディスカウントキャッシュフロー)モデルに及ぼす影響が限定的だったため。目標株価は21年予想PER(株価収益率)で19倍に当たる数字となる。BOCIは長期の成長見通しの明確さやビジネスモデルの確実性を指摘。現在のバリュエーションは引き続き魅力的な水準にあるとみて、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。