先週の結果

安倍首相辞任で急落

 先週の予測は、前週と同じように2万3,000円水準を挟んだもみ合いとしました。その中で今、頭の隅に入れておく必要があるべきことを述べました。世界は過剰流動性の元に、新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず楽観的な見方から、特に米国は上昇が続いています。4-6月期の決算発表もたいしたこともなく、新型コロナ感染もそれほど縮小していなくても、米株にサポートされた日経平均は高止まりしています。しかし、全体が強気になった時は、何かのキッカケで大きな下げが起こる可能性があり、このことを頭の隅に入れておく必要があるとしました。

 そして先週末の28日(金)午後、安倍首相の突然の辞任で、一時▲600円近い急落となりました。これは米国株式が堅調で、日本要因の急落であること、日本株式はそれほど強気になっていないことから、この程度の下げで済みました。ただし、11月の米大統領選までは注意が必要です。

8月24日(月):前週末の米国市場で、主要3指標上昇(S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数は最高値更新)したものの、シカゴの日経先物が▲10円の2万2,890円だったことで、日経平均は▲7円の2万2,913円で寄り付き、一時▲57円の2万2,862円まで下げました。その後、アジア株が高かったことで買い戻しを誘い、日経平均は+92円の2万3,012円まで上昇し、終値は+65円の2万2,985円と続伸しました。ただ、出来高、売買代金ともに少なく見送り商状でした。

25日(火):前日の米国市場は、NYダウ平均株価は+378ドル、S&P500、ナスダックは史上最高値更新となり、日経平均は+257円の2万3,242円で寄り付き、一時+399円の2万3,384円まで前場は上昇しました。後場はさらに強く、+445円の2万3,431円まで上昇し、一時、新型コロナによる急落前の水準を回復しました。買い一巡後は上値が重くなり、伸び悩んで日経平均は+311円の2万3,296円で引けました。チャートによる日経平均の上値ゾーンを2万3,178~2万3,575円までとしていましたが、到達できませんでした。

26日(水):S&P500、ナスダックは最高値更新が続きましたが、NYダウは4日ぶりの反落となり、日経平均は▲39円の2万3,257円で寄り付き、一時▲93円の2万3,203円まで下落しました。しかし、売り一巡後は持ち直し、▲5円の2万3,290円と日経平均は4日ぶりの小反落となりました。

27日(木):前日の米国株式は、主要3指標そろって上昇、特に主力ハイテク株が上昇し、S&P500、ナスダックは史上最高値更新中(5日連続)でした。しかし、為替が1ドル=106円を割る円高となったこともあり、日経平均は+20円の2万3,311円で寄り付いた後、一時▲113円の2万3,177円まで下げ、終値は▲82円の2万3,208円と続落しました。翌日、安倍首相の記者会見があるということで様子見となりました。

28日(金):前日の米株式はマチマチの動きでしたが、NYダウは+160ドルの2万8,492ドルとなり、一時、昨年来水準を回復したことで、日経平均は+23円の2万3,232円で寄り付き、+99円の2万3,308円まで上昇して、前引けは+83円の2万3,292円でした。パウエルFRB議長が物価上昇率を一時的に2%に抑えるとする新政策指針を決め、ゼロ金利を長期化する見通しを述べたことで、円安・ドル高となったことが相場を支えました。午後になると、日経平均は+153円の2万3,362円で寄り付き、+169円の2万3,376円まで上昇したところで、安倍首相辞任のニュースが流れ、一時▲614円の2万2,594円まで急落しました。売り一巡後はとりあえず下げ止まり、▲326円の2万2,882円で引けましたが、外国人投資家がどう判断するのか、落ち着きどころがこの日の時点では分からないところです。

 安倍首相が辞任して日経平均が急落、為替はアベノミクス後退を警戒して1円以上の円高になったものの、米国株式は順調な上昇でした。FRBの政策変更によるゼロ金利政策の長期化見通しや短時間で結果が判明する新型コロナ検査キット販売の承認で経済活動が正常化するとの見方から、NYダウは+161ドルの2万8,653ドルと昨年来水準を上回って引け、S&P500は7日続伸で史上最高値更新、ナスダックは前日反落したものの、この日はすぐに史上最高値を更新しました。シカゴの日経先物は+45円の2万2,935円でした。