なぜ今、バフェット氏は日本の商社株を買うのか?

 私は、20年以上前、ファンドマネージャー時代から5大商社の経営説明会に足しげく通い、分析レポートを何回も書いてきました。また、個人的にウォーレン・バフェット氏に強い関心を持ち、バリューを基軸とした運用手法を研究してきました。

 したがって、バフェット氏の考えから、日本の5大商社がとても魅力的な投資対象と映ることは、よく理解できます。ただし、バフェット氏が、ここまで本腰を入れて日本株を買い始めるとは思ってもいなかったので、今回の発表には驚きました。

 バフェット氏の運用手法の根底に、バリュー(株価割安度)重視があります。「本源的価値を大きく割り込んでいる株に投資する」ことを、若いころから常に追求してきたバフェット氏は、米国経済に強気で、米国株中心に投資してきました。しかし近年、世界中の投資資金が米国に集中し米国株に割安銘柄が少なくなってきたことに悩んでいました。

 そこで、とうとう日本株に投資対象を広げたものと考えられます。彼の目から見て、割安で投資価値の高い、日本の5大商社株に長期投資を始めたと考えられます。