投資を身近にする方法はあるのか?

――用途を決めて毎月の投資額の目標をつくると、身近な世界になりませんか。例えばマイホームの頭金として10年で500万円を目指すためには、毎月いくら投資するが必要あるというように。

野尻 投資額の目標を設定する場合、その用途が適しているものと適していないものがあることを知る必要があります。住宅の頭金の準備期間は自分で決めることができますね。10年後に購入するつもりなら、定期的に10年間で目標額に届くような投資額にすればいい。

 退職後の資金を投資でつくる準備期間も、現在の自分の年齢から逆算すればいいのです。65歳定年の会社なら、現在35歳の人は30年、40歳の人は25年なので、あとは目標額を決めるだけです。

 一方で教育費はどうでしょう。私たちのような投資教育に携わる者は、「息子、娘の大学入学金を目標にして、教育費を準備しましょう」などと簡単に口にしがちなのですが、それはある意味「ウソ」。

 なぜなら教育費がかかるのは大学だけではありません。小学校、中学校、高校のどの段階でもかかる。まして子どもが2人3人いて、小中学校から私立へ通うことになったら、目先の教育費の用意に追われて、大学の入学金を貯めるどころではないという親はたくさんいると思います。

 先ほどの住宅の頭金や退職後の資金は今すぐ必要ではなく、ある程度、準備期間が見える議論なので、自分のライフプランの中で「45歳までに頭金を用意して少しいいところに住みたい」「50歳までに住宅ローンを完済したい」という計画が立てられます。計画通り運ぶかどうかは別にして、この2つの投資目標設定は「あり」だと思います。