もしそうなのだとしたら、株式に投資する時も、農地を買うのと同じように、株価は最初から無いものと考えれば良いのではないでしょうか。

 つまり、非上場会社のオーナーになったと考えてみるのです。すると投資額そのものではなく、投資額に対してその保有会社が実体としてどれだけの利益を上げているのかが気になるようになるでしょう。

 駅前のレストランのオーナーになるイメージです。仮にそのレストランを買うのに1億円かかったとしましょう。そのレストランに投資するのに要した金額(1億円)に対して、どれだけの売上があるのか、どれだけの利益をたたき出しているのか、そこに興味の中心は移ります。その利益が最初500万円だとします。利回りに換算すると5%(500万円/1億円)です。そしてそのレストランが大成功して、お客さんが当初の倍来るようになって、利益も倍になったとします。利回りは10%になっていますね。そしたら、他の人が「そのレストランを買いたい」と申し出てきます。その時、あなたがそのレストランを売りたいと思ったら、たぶん2億円以上で売れると思いますよ。これが、企業がたたき出す利益とその企業が持つ価値との関係です。

 尻尾がついた動物にたとえると、利益は胴体であり、株価は尻尾と考えることも出来ます。尻尾は常に動いているのでつい気になってしまいますが、大事なのは本体である胴体です。胴体が大きくなるには時間がかかりますが、これが着実に大きくなっていることが重要です。株式の場合は、企業がつくり出す利益こそが重要なのです。なぜなら、利益が大きくなればなるほど、長い目で見れば結果として、株価もそれに連動して上昇するからです。

 ところが、多くの人はそう認識していません。とにかく尻尾がどれだけ大きく振れるのかということにばかり目を奪われてしまいます。それではいけません。「投機家ではなくて投資家になりたい」と考えているのであれば、尻尾の動きは出来るだけ見ないようにして下さい。とにかく会社の「利益」をしっかり見るようにしましょう。一流の投資家は、常に利益に対して強いこだわりを持っているものなのです。

<『ビジネスエリートになるための教養としての投資』より抜粋>

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