でも、これが本当に不思議なことなのですが、農地を株式に変えると、買おうとしている人の動機が全く違ったものになってしまうのです。
つまりこういうことです。「その企業が行っている事業から、どれだけの利益が得られるのか」を考えて株式を買うのか、それとも「この株式を買うことでどれだけの値上がり益が得られるのか」を考えて株式を買うのか、ということです。
これは私のドタ勘ですが、絶対に後者の方が多い。だって、個人投資家の方とお話をしていて、「この会社の事業内容についてどこが魅力なのか、他社との差別要因は何なのかを教えて下さい」という話はほとんど出たことがありません。言われるとしたら「この会社の株買ったら儲かるの?」ということだけです。
なぜ、農地だと純粋に農業から得られる収益をベースに考えられるのに、株式は企業が行っている事業から得られる利益をベースにして考えられないのでしょうか。
それは恐らく、「株価」という値段が常に誰からも見られるようになっているからだと思います。
ここが人間の弱いところですが、値段がチラチラ動いているのが見えると、誰でも気になるのです。農地ならば、株式のように日々、マーケットで値段が形成され、それが時々刻々と動いているものではないので、土地の値上がり益で利益を得ようという動機が生まれにくいのだと思います。