航空不況下で20年上期に1%増益、購入&リースバック取引に成長潜在力

現地コード 銘柄名
02588

中銀航空租賃

(ビーオーシー・アビエーション)

株価 情報種類

49.40HKD
(8/21現在)

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    航空不況の下、航空機リースを手掛ける中銀航空租賃の20年6月中間期の純利益は、前年比1%増の3億2,300万米ドルだった。純リースイールドは19年の8.4%から8.2%に低下。平均負債コストは19年の3.6%に対して3.2%となった。総売上高は11%増の10億3,500万米ドル。うちリースレンタル収入が7%増加し、全体の86%を占めた。航空機需要が低迷する中、BOCIは短期的に、「購入&リースバック」(PLB)取引が同社の収益成長を支えるとの見方。長期的には新型コロナの収束を受け、航空機需要が回復すると予想。現段階でのPLB取引も長期成長に寄与するとみている。また、世界的な航空需要の回復ペースが予想以上に鈍いとして、目標株価を引き下げながらも同社の長期見通しを楽観し、手堅いビジネスモデルを前向きに評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。20年予想配当利回りが5.6%の魅力的な水準にあることにも触れた。

    同社経営陣は、20年通期の純リースイールドも8%超の水準を維持するとの見方。各国政府の支援や航空業況の段階的な回復見通しを理由に、取引先の財務状況に対して信頼感を示している。上期には航空機23機の引き渡しを受けたが、うち20機はPLB取引の対象機材。上期の売却機材数は5機だった。運用機材の稼働率は99.8%で、平均機齢は3.5年。平均リース残存期間は8.5年。信用格付けは引き続き「A-」だった。

    同社は最近、ボーイング「737 MAX」30機の注文をキャンセルしたが、これは墜落事故を起こした同機の運航が再開されていないことに加え、PLB事業により多くの資源を振り向けるという戦略によるもの。旅行需要が急減し、航空各社が流動性圧力にさらされている現状は、リース会社にとってPLB取引を拡大するための好機であり、同社は20年上期に66機のPLB契約を締結した(18年は7機、19年は4機)。ボーイングとエアバスはコロナ禍で、減産と人員削減を余儀なくされているのが現状。同社が23年までに受け渡しを予定する注文はすべて航空会社が取引相手となっている。

    20年上期にはリース料回収率が88.7%に達したため、減損損失は限定的。BOCIは同社と取引関係にある航空会社91社の多くが、政府からの支援を受け、新型コロナ危機を乗り切るとみている。航空各社はコロナ後の市況回復やリース契約不履行に際しての多額の違約金を考慮し、現行契約(オペレーティングリースは通常12年間)を維持しているという。BOCIは減損損失の計上を理由に、同社の20年の予想純利益を小幅に引き下げる半面、PLB取引の伸びを見込み、21-22年予想を小幅に増額修正した。

    BOCIは今回、エクセスリターン・モデルを用いた算出方式で目標株価を引き下げつつ株価の先行きに強気見通しを継続。新たな目標株価は21年予想PBR(株価純資産倍率)で1.1倍相当。一方、同社の潜在リスク要因としては、コロナに起因する航空会社の資金繰り悪化やリース料回収状況への影響、機材価値に絡む減損リスクなどを挙げている。