政府補助金の回収期待で株価上昇、バランスシート改善に期待

現地コード 銘柄名
00916

龍源電力集団

(チャイナ・ロンユエン・パワー)

株価 情報種類

5.54HKD
(8/13現在)

 株価
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    龍源電力の株価は最近、大きく値上がりしたが、これは業績要因というより、政府の再生可能エネルギー補助金の回収期待によるもの。経営陣は中間決算発表後のカンファレンスコールで、引き続き慎重見通しをうかがわせたものの、BOCIは補助金延滞分の一括支払い措置が20年末か、21年上期にも実現すると予想。これが同社株のバリュエーションをさらに適正レベルに押し上げるとみる。21年予想PBR(株価純資産倍率)0.84倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

    20年6月末現在、同社の補助金未収額は228億元。うち194億元がバランスシートに算入された。一方、20年上期に回収したのは5億3,200万元。財政部が新たに設定した補助金支払い規定に基づく計算では、20年通期の回収額は約35億元となる可能性が高い。延滞分の一括払いを行うという政府計画を考慮しない場合、BOCIの試算では、同社の補助金未収残高は20年末に257億元に膨らむという。

    仮に政府の計画が20年末あるいは21年前半に実行された場合、同社は一度に、100億元を超える補助金を回収できる可能性があり、この場合、バランスシートが大きく改善する。BOCIによると、19年末時点でバランスシートに算入されていた未収補助金123億元を全額回収できた場合、純負債比率は138%から119%に改善する見込み。また、この金額は20年通期の予想配当総額の12倍に当たる数字であり、BOCIは特別配当の実施もあり得るとしている。

    一方、ここ数カ月の建設作業の進捗ペースが予想を上回ったことで、同社経営陣は風力発電設備の20年の新規導入目標を2.15GWから2.3GWに上方修正。これに伴い設備投資計画を193億元から211億元に引き上げた。また、「グリッドパリティ時代」(グリッドパリティは再生可能エネルギーの発電コストが既存の電力コストと同等か、それより安価になること)における投資基準の最低ラインをIRR(内部収益率)7%に調整した上で、続く21年には2GWを追加導入する計画を明らかにしている。

    なお、6月中間期の売上高は前年同期比1%増の142億1,800万元、純利益は4%増の32億1,000万元。上期の電力ロス率は5.78%と、新型コロナの影響で前年同期の5.65%を上回ったが、経営陣は通期では、5.3%以下に抑えられるとみている。

    BOCIは発電容量に関する想定値を小幅に引き上げるとともに、資金調達コストを引き下げ、20-22年の利益見通しを5-7%増額修正した。これに伴い、目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。レーティングの見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、一括の補助金回収が遅れる、あるいは不履行となる可能性に加え、新規の設備導入が予想より鈍いペースとなる可能性、営業経費が予想を上回る可能性を挙げている。