成長し続ける保有銘柄の売り時を見極める
――1億円達成に貢献した銘柄は何ですか。
ゲーム銘柄でした。「パズドラ(パズル&ドラゴンズ)」や「モンスト(モンスターストライク)」がはやっていたころで、銘柄はガンホーやミクシィですね。自分の中で「値上がりする」という確信がありました。
――例えばミクシィですが、主力事業がSNSの会社からゲームの会社に変わりました。遠藤さんはどんなタイミングでミクシィを売買したのですか。
SNS初期の頃なら、SNSの会社としてミクシィに投資するのはありだと思います。その後、ツイッターやフェイスブックなど多くのSNSも出てきましたが、もうこの時点では、たとえミクシィの株価が上昇し続けていても買いません。多くのユーザーが、やがてツイッターやフェイスブックに移行していくことが予想できたからです。
私がミクシィを買ったのはその後。「モンスト」の発売時です。その時の私は、会社ではなくゲームに投資をしたつもりでした。だから、ゲームが伸びている間は保有していましたが、ゲームの寿命はせいぜい2~3年。投資の寿命はもっと短くてマックス1年だろうと思ったので、7カ月保有して6倍になったところで売りました。そこから先は買っていません。ゲームは飽和していて伸びしろがないと判断したからです。もし次に投資する可能性があるとしたら、違うゲームや違う商品サービスを出してきたときですね。
――ゲームを例にとると、ゲームが飽きられるということの他に、ガチャ規制(課金しすぎを防ぐための規制)のような業界を取り巻く環境の変化が起こったときも売りますか。
ケースバイケースですね。企業がルールの隙間を縫って成長する余地があるなら保有を続けます。そうした情報は、その業界に詳しい人に話を聞くのが一番。私が投資コミュニティー「iXi(イクシィ)」を運営しているのも、コミュニティー内で情報を交換することが目的です。一人でカバーできる業界は限られますからね。
――ところで、時価総額200億~300億円の会社を買って順調に株価が上昇している、格別悪い材料も出ていないとして、売り時はどう判断していますか。
時価総額が1,000億円に近づいてきたら売り時と考えています。小型株が中型株に成長したら売り時ですね。もちろん、時価総額の多寡(たか)だけで判断するわけではありませんが。
――匿名のネット掲示板とは違って、運営者の顔が見えるコミュニティーは情報精度も高そうですね。さすがにポジショントーク(自分に有利になるような発言)をする参加者はいないと思いますが。
メンバー全員の身元がはっきりしており、投稿も実名なので情報精度はかなり高いと思います。ネットの匿名掲示板では、好き勝手に無責任な情報を発信しても、罰則はありませんよね。でも、実名で無責任な発言をすると自分の信用を減らすだけなので、みんなしっかり調べた上で情報を発信しています。