強弱材料の綱引き続く。ワクチン大量供給のメドがたちつつあることはポジティブ

 6月以降、日経平均には膠着感が出つつありました。以下の通り、強弱材料がきっこうした状況は変わっていないと考えます。先週は、米国でワクチン開発が想定以上のピッチで進んでいく見通しとなったことが好感されたことが、株高につながりました。

強材料

【1】世界景気回復期待
 中国・米国・欧州・日本で経済再開を進めることで、世界景気が回復に向かう期待が出ている。4~6月が世界景気の最悪期で、7~9月から米国・欧州・日本が回復に向かう見込み。中国は1~3月が最悪期で、4~6月から回復している。

【2】世界中で財政・金融政策の大判ぶるまい
 米国を中心に世界中の政府・中央銀行が、巨額の財政・金融政策の大判ぶるまい。日本銀行は、当面年間12兆円のペースで日本株ETF(上場投資信託)を買い付ける方針を維持。米国で、7月末に期限切れとなった失業給付の継続法案が、与野党対立で成立しなかったことが不安視されていたが、トランプ大統領が大統領令を発動し、給付継続を指示。

【3】ワクチン開発
 米国・英国・中国で予防ワクチンの開発が、想定よりも早いピッチで進展。日本は、塩野義製薬・アンジェスなどが開発を進めているものの、ワクチン開発では大幅に出遅れている。ただし、米英から供給を受けることで基本合意。米ファイザーから来年6月までに1億2,000万回分(6,000万人分:1人2回の接種が必要となる見込み)、英アストラゼネカからも来年1億2,000万回分(1人1回か2回か未定)、2回ならば6,000万人分)の供給を受けることで基本合意。

弱材料

【1】感染再拡大
 経済再開を進める米国・欧州・日本で感染が再び拡大。感染爆発を避けるために、経済活動が一部制約され、結果として経済回復が遅れるリスクも出ている。インド・ブラジル・トルコなどの新興国で、感染が急拡大。

【2】米中対立激化
 中国は、海洋進出強化、インドとの国境問題でも積極策。周辺国と摩擦が強まっている。さらに、香港の支配を強化。

 これに対し、米トランプ大統領は対中国強硬姿勢を一段と強めている。8月6日には、中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営する企業(バイトダンスとテンセント)との取引を45日後から禁止する大統領令に署名。米アップルや米グーグルが両社と取引できなくなれば、事実上、米国から両社のアプリが締め出されることになる。これまでトランプ大統領は、中国通信大手ファーウェイなど通信機器メーカーを米市場から排除してきたが、さらに、通信アプリまで排除を広げる構え。こうして米中による世界経済分断が強まると、コロナが収束しても、世界経済の分断が続く懸念が強まる。

【3】債務問題
 世界中で過去に例のない大規模金融緩和をやっている副作用として、債務残高が急拡大している。潜在的なクレジットリスクが高まっている。