中国のドル離れ!中国銀行はSWIFTからの切り替えを急いでいる!?

 中国銀行の投資銀行部門の報告によると、米国の経済制裁が迫る中、中国の銀行はSWIFT(国際銀行間の送金や決済に利用される安全なネットワーク等を提供する非営利法人で、本部はベルギーにある。世界のほとんどの金融機関が、SWIFTの標準化された通信フォーマットを利用して日々大量の決済業務等を行っている)からの移行を迫られているという。中国の国営金融機関は、香港の新たな国家安全保障を実施した場合、銀行に罰則を科す可能性のある米国の法案の成立を見越して、緊急時対応計画の見直しを行っているという。

 中国銀行の報告書は、「米国が一部の中国の銀行によるドル決済へのアクセスを遮断するという極端な行動に出るならば、中国は米ドルを為替管理のアンカー通貨として使うのをやめることも検討すべきだ」としている。

 最近のドル安相場は、米国の制裁を想定した中国銀行がSWIFTからの切り替えを急いでいるために起きているという見方もある。

 中国はSWIFTにかわるCIPS(クロスボーダー銀行間決済システム)をすでに用意している。中国は2015年にCIPSの清算および決済サービスシステムを立ち上げた。中央銀行が監督するCIPSは、96の国と地域からの参加を得て、2019年には1日あたり1,357億元(194億ドル)を処理したという。

 1カ月前に中国銀行保険監督管理委員会のGuo Shuqing委員長が米国通貨に対して強い警告を発した。これはCFR(米外交問題評議会)やゴールドマンのレポートが出る1カ月前に、中国が「米ドルの準備通貨としての地位が終わりを迎える可能性がある」と、警告したものだった。

 市場はこれらの最新の動きに気付いていないかもしれないが、ワシントンと北京の間の金融戦争は正式に始まっており、今後は米国と中国の報復合戦が進むにつれて、中国のドル離れは加速するばかりである。中国が米国債を売れば、米国債市場がどうなるのかを考えたら、給付金バブルに浮かれている場合ではないだろう。