トヨタは4-6月で黒字を維持、ホンダも通期黒字へ

【1】トヨタ(7203)の底力を高く評価
 4-6月の実績で特筆に値するのは、連結販売台数が5割も落ち込む中で、トヨタ自動車が1,588億円の黒字を計上したことです。前年同期比▲74%減益ですが、それでも黒字を確保した底力は高く評価できます。

 世界中の自動車メーカーが巨額の赤字を計上し、赤字で当たり前の環境で黒字を計上できた要因は、主に2つあります。原価改善・コストカットで850億円(営業利益ベース)、中国事業で同297億円の損益改善があったことなどが貢献しました。早くに販売が回復した中国でシェアを伸ばした効果が出ました。

 自動車セクターのコア銘柄として、投資価値は高いと判断しています。4-6月期が底で、7月以降、業績が回復していくと考えられることから、今、積極的に投資していくべきタイミングと判断しています。

【2】本田技研(7267)も、高く評価
 本田技研(以下、ホンダと表記)は、2020年4-6月の最終損益は、▲808億円の赤字でした。二輪(オートバイ)は販売台数が前年同期比で62%落ち込みましたが、それでも112億円の営業黒字を確保しました。

 ところが、販売台数が▲40%落ち込んだ四輪で▲1,958億円の営業赤字を計上したことが響きました。金融サービス事業では715億円の営業利益を稼いきましたが、カバーできませんでした。

 ホンダは、二輪(オートバイ)で高い収益力を持ちます。二輪は、アジアで業務用にあらゆる分野で使われますが、ホンダの二輪は、アジアで圧倒的な競争力を持ちます。近年は、四輪よりも二輪の方が稼ぐ利益が大きくなっていました。

 ホンダは、トヨタとともに、通期(2021年3月期)で、最終黒字の予想を出しています。年後半に、販売がゆるやかに回復していく前提としていますが、ホンダの通期で1,650億円の黒字見通しを出せる収益力は、高く評価できます。トヨタとともに、自動車株のコアとして投資していきたい銘柄です。

【3】スズキ(7269)は4-6月黒字も、通期に不安
 スズキも、17億円の最終黒字を計上しました。スズキは、自動車販売の成長率が高いインドでシェア5割強のトップシェアを長年にわたり維持してきた強みがあります。

 4-6月は、その強みを生かして、なんとか黒字を保ちました。ところが、足元、インドで新型コロナの感染が急拡大しているため、通期の販売には不安があり、それを理由に、通期の業績予想を非開示としました。インドの販売に不透明感があるので、投資は時期尚早と考えています。

【4】トラック2社、いすゞ自動車(7202)と日野自動車(7205)も投資して良いと判断
 トラック2社、いすゞと日野は、4-6月は赤字でしたが、通期で黒字を予想しています。日本のトラックは、二輪と同様、アジアで業務用に幅広く使われます。日本のトラックはアジアで高い競争力を有しており、コロナが収束すれば、安定的に成長が期待できます。したがって、2社とも投資していって良いと判断しています。