【4】生活保護申請のセーフティネット
申請に気後れがある場合はNPOによるサポートも可能
【3】では、生活保護の心理的ハードルに触れましたが、ここでは実際の申請について見ていきましょう。
「いくらかでも収入があってギリギリの生活ができている人、失業したけど若くて体も丈夫な人、こういう方は自分に受給資格がないと思い込んでいるケースがあります。けれども、生活保護を受けられるかどうかの基準は、『毎月の収入が最低生活基準を下回っているかどうか』『生活をしていくために自分でできる努力をしているかどうか』の2つだけです。
特に若くて健康体の人は申請条件を満たしているのにもかかわらず、うまく現状を説明できず申請が受理されないケースがあります」(野田氏)
そんなときには、一人で申請に行くのではなく、生活支援ネットなどの支援団体に相談し、同行してもらう方法もあると野田氏はいいます。生活保護の申請時には、自分がどのような状況なのかを説明したうえで複数の書類に記入する必要があるとのこと。一人では気後れするという方も、専門家が隣にいれば心強いのではないでしょうか。
野田さんからのアドバイス
生活保護申請時に必要なもの!
「申請窓口は、自治体の役所や福祉事務所、持参するものは印鑑です。身分証明書がないからといって申請を断られることはありませんが、住居の賃貸借契約書や身分証明書などがあれば、審査がスムーズに進みます」(野田氏)
【5】いま使うべきセーフティネット
生活保護制度以外で、いま受けられる制度
コロナ禍でのセーフティネットといえば、一律10万円の特別定額給付金が話題になりましたが、これ以外にもセーフティネットとして機能する制度があるので、最後にいくつか紹介しましょう。
「前述のように、生活を立て直すために住居の確保は重要です。新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減り、家賃の支払いが厳しい場合は、住居確保給付金を検討してみてください。
また、生活支援措置として、最大20万円の緊急小口資金貸付制度、生活資金として1人世帯で最大15万円を3カ月間借りられる総合支援資金貸付制度が利用できます。いずれも、給与明細が必要などの細かい条件があるので、自治体や国が設置しているコールセンターなどに相談してみるといいでしょう」(野田氏)
野田さんからのアドバイス
貸付制度の場合は返済免除の条件もある!
「緊急小口資金貸付制度や総合支援資金貸付制度は、給付金と違って返済が必要です。それがネックになって利用をあきらめるケースもありますが、所得減少が続く場合は免除措置もあるので、まずは相談をしてください」(野田氏)
セーフティネットを活用しよう
最後に、生活保護申請などの支援を長年続けてきた野田氏からメッセージをいただきました。
「セーフティネットは必要最低限の生活を維持する、もしくは困窮した生活を立て直すためにあるのですから、困ったらいつでも堂々と利用していいという意識を持っておきましょう」(野田氏)