太陽光発電需要の持続や薄型ガラスの浸透で見通し良好

現地コード 銘柄名
00968

信義光能控股

(シンイー・ソーラー)

株価 情報種類

8.37HKD
(8/4現在)

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    信義光能の20年6月中間決算は、同社が事前に発表した利益見通しの上限に達した。粗利益率の上昇やコストの低減が背景。BOCIは薄型ガラスの浸透に伴う旺盛なガラス需要を見込むとともに、太陽光発電(PV)の普及が引き続き、同社の追い風になるとみる。また、技術チェーンの分断を回避できていることもプラスとの見方。PVガラス事業に関する評価法をPER(株価収益率)からDCF(ディスカウントキャッシュフロー)に変更した上で、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。同社を太陽光発電セクターのトップピック銘柄としている。

    6月中間期の売上高は前年同期比16%増の46億2,300万HKドル、純利益は48%増の14億600万HKドル。主に4-6月の在庫補充需要が寄与し、売上高はBOCIの予想を小幅に上回った。また、PVガラスの粗利益率が前年同期を11.6ポイント上回る39%に達したことや、営業レバレッジ(売上高の変動に伴い利益額が大きく変動する現象)効果が、利益成長率の押し上げに寄与した。粗利益率の大幅な改善を支えたのは、ソーダ灰調達コストの2桁減と天然ガス費用の1桁台後半の削減。下期には内部での珪砂供給が始まるのに伴い、一段のコスト軽減余地が生じる見通しという。

    6月末には広西チワン族自治区の北海市で同社初の生産ラインが稼働を開始したが、続いて8月半ばには第2ラインの稼働が始まる予定。これで、同社の生産能力は26%拡大する。同社はまた、21年までに、安徽省蕪湖市で生産ライン4本の増設を計画する(設備投資額30億HKドル)。BOCIによると、20年下期にはPVのバリューチェーンにおける価格上昇を受け、同社は利幅の確保と販売量の増加とのバランス取りを迫られており、下期の平均販売価格(ASP)の上昇率は当初予想より緩やかなペースにとどまる見込み。ただ、薄型ガラス、特に高利幅の2.0mmシリーズの浸透率の上昇が、これを一部カバーする見通しという。BOCIは20年上期に約20%だった同社の薄型ガラスの浸透率が、22年には35%に上向くとみている。

    BOCIは他のPV関連製品に比べ、同社が手掛けるガラスはリスク・リワードの点で最も優れていると指摘。理由として【1】次世代製品でも封入剤としてのガラスの必要性は変わらず、不要部品となるリスクが小さい【2】費用曲線が急速に傾く中、同社は最悪のシナリオでも一定の利益率を確保することができる【3】新たなPV製品の投入による需要増効果で、ガラス需給は適正範囲で推移する可能性が高いなどを挙げた。

    BOCIは現在の環境下での循環型という特性を理由に、同社のガラス生産事業を評価する手法をPERからDCFに切り替え、SOTP(サムオブザパーツ)ベースの目標株価を引き上げた。新たな目標値は21年予想PERで20倍相当。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、予想を下回るPV需要を挙げている。