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7月1日、米国電気自動車メーカーであるテスラの『時価総額』が、トヨタ自動車を上回りました。『時価総額』は株価に発行済み株式数を掛けたものであり、企業の価値を表すものとされています。2003年に設立された新興の電気自動車メーカーであるテスラの『時価総額』が、世界一の自動車会社であるトヨタ自動車のそれを超えたことから、時代の変化を表す出来事として注目されています。
【ポイント1】テスラがトヨタ自動車を抜き、『時価総額』トップの自動車メーカーに
7月1日、米国電気自動車メーカーのテスラの『時価総額』が2,077億米ドルとなり、トヨタ自動車の2,021億米ドルを上回り、自動車メーカーでは世界トップに躍り出ました。
両社の株価を昨年末比で見ると、トヨタ自動車株が1割以上下落しているのに対して、テスラ株は2.7倍近く上昇しました。テスラの電気自動車の取り組みが、評価されているようです。
また、テスラの4-6月期決算は売上高を5%減収にとどめ、営業黒字を確保するなど健闘しましたが、今月6日に予定されているトヨタ自動車の4-6月期決算は、新型コロナの影響により販売台数が伸び悩んだことから苦戦が予想されています。
【ポイント2】電気自動車に対する期待が背景
テスラは2003年、米国シリコンバレーに設立されたばかりの電気自動車メーカーです。年間では営業赤字、当期純損失が継続しており、2018年の新型車「モデル3」の量産立ち上げ時には資金繰りも不安視されました。
一方、トヨタ自動車は長きにわたり『時価総額』世界一の自動車メーカーであり、両社の規模や業績の差は歴然としていますが、自動車業界は中長期的には電動化の流れにあります。トヨタ自動車を筆頭に従来メーカーは既存事業が大きく事業モデルの転換に時間を要すると見られているのに対し、専業であるテスラの電気自動車は純粋な成長が享受できると期待されています。
【今後の展開】コロナ禍もあり時代の変化が加速か
トヨタ自動車は、従来のガソリン車に加え、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車と幅広く研究開発を行い、市場ニーズの変化を見ながら事業展開を進めています。
電気自動車が本格化するのはまだ先と見られていましたが、今回のコロナ禍は人々や社会の意識・行動に大きな影響を与えており、環境意識の高まりなどから、思っていたより早く電気自動車の時代が到来することも考えられます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。