20年4-6月に2桁減収減益も中国市場がけん引、通期見通しを上方修正

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股有限公司

(バドワイザー・ブリューイング・カンパニーAPAC)

株価 情報種類

25.50HKD
(7/31現在)

 株価
 企業情報
 チャート

    バドワイザーAPACの20年4-6月期決算は、売上高が前年同期比15.5%減の16億1,900万米ドル、ノーマライズド・ベースのEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は17.2%減の5億2,300万米ドルだった。同社は事業エリアを2つに分けているが、韓国を主力とする「APAC(アジア太平洋)東部」、主に中国とインドで構成される「APAC西部」ともに前年同期比10.2%の減収。ただ、うち西部での販売量は中国市場の回復を背景に相対的に小幅の下げにとどまった。また、全体の販売量とASP(平均販売価格)が落ち込んだにもかかわらず、コスト管理の強化が奏功し、EBITDAマージンは19年通期並みとなる32.3%に達した。続く20年下期について、BOCIは中国での販売量がさらに回復し、ナイトライフの再開に伴い、製品ミックスやASPも改善に向かうと予想。同社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

    4-6月期にはAPAC西部のうち、中国の好調が目立った。西部全体の売上高は前年同期比10.2%減(販売量が5.8%減、ASPが4.7%低下)。うち中国は4.6%減と、1-3月の45%減から大きく持ち直した。中国ではASPが4.3%ダウンする半面、販売量は0.3%の微減。4月に前年同月比17%減だった販売量が、5月、6月には1桁台半ばの増加に転じ、6月には月別で過去最高を記録した。ネット販売などの好調を受け、同社は家飲み用の小売チャネルでシェアを拡大している。販路別に6月末時点の営業再開率を見ると、小売拠点は100%で、レストラン、ナイトライフが90%超、80%超。中国でのASPは4-6月に前年同期を4.3%下回ったが、これは販売価格の高いナイトライフ販路での販売減が響いたためという。

    一方のAPAC東部では韓国市場の低迷が響いた。東部の4-6月期の売上高は西部と同じ10.2%減(販売量が8.8%減、ASPが1.6%低下)。うち韓国では19年4月に値上げを実施した影響で、ASPが1桁台前半の幅で下落し、20年年初に行われた税制改革による恩恵を一部打ち消した。韓国での同社シェアは前四半期を上回ったものの、前年同期比では低下。BOCIは韓国の消費者心理の低迷が、下期も影を落とすとみている。

    BOCIは中国での好調を理由に、APAC西部での20年の予想販売量を6,760万hl(1ヘクトリットル=100リットル)から7,240万hlに上方修正し、東部に関しては1,140万hlから1,100万hlへ小幅に下方修正。さらに全体の予想ASPを3%引き下げ、20年の予想売上高と予想純利益をそれぞれ2%、16%増額修正した。

    また、APAC西部の目標株価算出基準を21年予想EV/EBITDA倍率20倍から23倍に変更し(東部は同13倍を維持)、これに伴い同社の目標株価を引き上げた。潜在的な支援材料として、製品のプレミアム化の加速や、外食・ナイトライフの全面緩和などを指摘。逆にレーティングの引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、ハイエンド販路の回復の鈍さ、プレミアムビール市場での競争激化、価格転嫁が困難な状況でのコスト高などの可能性を挙げている。