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地球温暖化防止を目標に、欧州を中心に石炭火力について廃止を打ち出す国が相次ぐなか、日本も『脱炭素』 に向けた取り組みを強化する方針を示しました。経済産業省は、発電効率が低い石炭火力発電所の削減に向けた制度設計や、代替する電力供給源として期待される再生可能エネルギーの普及策などについて、エネルギー政策のベストミックスに向けた検討を進めています。
【ポイント1】経産相が石炭火力発電所の休廃止を表明
梶山経済産業相は7月3日、二酸化炭素(CO2)を多く排出する低効率な石炭火力発電所の休廃止を進めると表明しました。石炭火力発電は、環境への配慮の観点から欧州を中心に廃止の動きが広がっており、日本も『脱炭素』に向けた取り組みを強化する方針を示しました。
石炭火力発電所は現在国内に140基あり、そのうち114基が発電効率が低い施設とされます。低効率の114基のうち9割程度の約100基が休廃止の対象となる模様です。石炭火力を保有する電力会社ごとに発電量に上限を設けて、2030年度にかけて段階的に引き下げる方式が検討されています。一方、高効率の26基の新型発電所は引き続き維持・拡充される見通しです。
【ポイント2】再生可能エネルギーへシフト
経済産業相は、石炭火力の輸出の公的支援についての条件の厳格化や、今後は石炭火力を制限して、再生可能エネルギーの普及を優先することに取り組む姿勢を示しました。
欧州を中心に、新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な打撃を受けた経済の回復を環境重視で進める「グリーン・リカバリー」の動きが出ています。『脱炭素』で出遅れている日本も、今後再生可能エネルギーへのシフトが一段と進む可能性があります。
【今後の展開】『脱炭素』の動きを金融市場も評価
多くの国が『脱炭素』を後押しするなか、金融の世界では、企業に『脱炭素』の取り組みを促すマネーの動きが広がってきています。株式市場では、環境・社会・企業統治に配慮した経営を行う企業を選択する「ESG投資」の残高が急拡大しています。また、銀行の融資や社債発行においても、『脱炭素』を積極的に進める企業は評価され、資金調達がしやすくなっているようです。
日本の『脱炭素』に向けたエネルギー政策が日本企業の『脱炭素』への取り組みを一段と促し、長期的な成長につながることが期待されます。