3大キャリアの6月の業務指標、国際線・国内線ともに前月比で回復傾向

    中国3大航空キャリアの業務指標は回復基調にあり、6月には国際線のRPK(有償旅客キロ:有償旅客の輸送距離を示す指標)が前月を24-38%上回った。中国民用航空局(CAAC)による国際線の運航制限の一部緩和が主因。ただ、主要路線の欠航が続く中、前年同月との比較では指標の悪化が鮮明だった。一方、国内線のRPKは回復傾向を維持し、5月に前月比46-52%上向いた後、6月も同10-25%上昇した。3大キャリアは20年12月本決算でそろって多額の赤字を計上する見通しだが、BOCIは21年の業績回復に目を向ける。また、現在株価の低バリュエーションや財務の健全性を理由に挙げ、3社の株価の先行きに対し、いずれも強気見通しを付与している。

    航空3社の6月の業務統計は依然、前年同月を大きく下回る水準にあり、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空の順でそれぞれ43.9%、52.1%、57.9%の落ち込みとなった(国内線・国際線を含む)。さらに座席の販売状況を示す旅客ロードファクター(PLF:有償座席利用率)は13.9、16.4、13.5ポイント低下。RPKは各53.3%、61.5%、64.9%減少した。相対的に堅調だったのは国内線の指標で、国際線および香港・マカオ・台湾路線を大きく上回った。

    一方、前月比では、3社の指標は回復傾向にあり、国内線需要は5月に続いて増加。運航制限の緩和を受け、国際線も回復に転じた。前月比の国内線RPKの伸びでは、中国東方航空が25.2%と最大で、中国南方航空、中国国際航空が20.7%、9.7%だった。

    国内線需要は続く7月前半も回復トレンドを維持したが、その背景には航空運賃の値引きがあるもよう。航空券オンライン予約システムを一手に担うトラベルスカイによると、7月2週目までの国内線旅客数は前年同期比33.5%減と、6月の同38.3%減から改善したが、平均運賃は51.0%下落した。航空需要の取り込みに向けた値下げで、6月の31.7%から一段と下げ幅を広げた(全体では旅客数が54.1%減、運賃が36.1%低下)。

    BOCIは航空各社にとって逆風となる原油高と元安について、20年にはリスクが後退したとの見方。原油相場は低水準で推移する可能性が高く、一段の元安圧力も限られるとみる。ただ、為替に関しては、米中対立の激化が不確実要素になるとも付け加えている。

    航空3社は20年通期に多額の赤字を計上する見通しだが、BOCIは21年の業績回復を予想。国際線の持ち直しや旅客ロードファクターの改善、国内線のほぼ全面的な回復、さらに原油安が業績回復を支えるとみている。

    BOCIはコロナ後にはまず、国内の経済活動が回復し、国内のレジャー活動、国際的なビジネス活動・レジャー活動が回復するとの見方。この予想に基づくコロナ後の業績回復力の点から、3大キャリアの中で中国東方航空(00670)を選好し、以下、中国南方航空(01055)、中国国際航空(00753)の順で有望視している。