6月の新車販売は12%増、決算発表シーズン控え各社業績が焦点に

 中国汽車工業協会(CAAM)によると、6月の新車販売台数(卸売台数)は前年同月比11.6%増と堅調だった。乗用車販売は前月比で相対的に高い伸びを確保。商用車は月別で過去最高を記録した。7-8月は伝統的に新車市場の閑散期に当たるが、BOCIはディーラーによる在庫補充の動きが続くとみて、乗用車販売のプラス成長を見込んでいる。また、決算発表シーズンを控え、ディーラー銘柄のほか個別の完成車銘柄、部品銘柄の買い増しを推奨。完成車では吉利汽車(00175)と長城汽車(02333)を選好している。

 6月の乗用車販売は前年同月比1.9%増、前月比では5.4%増の176万台。前年同月比の伸びは5月の7.0%から減速したが、これは主に前年実績の高さによるもの。むしろ、例年の6月を上回る前月比の伸びが目を引いた。感染収束に伴う需要の回復や主要メーカー車種の在庫補充の動きが数字を押し上げたという。これで上期の乗用車販売は前年同期比22.4%減。SUVが14.9%減、セダンが26.0%減、MPVが45.7%減だった。

 一方の商用車は前年同月比63.1%増の53万6,070台と、過去最多を記録した。上期の販売台数は前年同期比8.6%増加したが、これをけん引したのは貨物車の10.8%増だった。

 新エネルギー車販売は6月に前年同月比30%余り減少したが、これは補助金削減前の駆け込み需要に起因する前年同月実績の高さが主因。前月比では25%超の伸びとなった。上期の販売台数は前年同期比37.4%減の39万3,000台(乗用車が38.5%減の35万2,000台、商用車が25.2%減の4万台)。BOCIは7月以降、新エネ車販売がプラスに転じると予想。12カ月間に及ぶマイナス局面を抜け出すとみている。

 ブランド別では上期もドイツ系と日系の販売台数が全体をアウトパフォームし、シェアの拡大傾向を維持した。中国独自ブランドのシェアは36.3%(19年には39.2%)とここ10年の最低水準。個別では吉利汽車など一部がシェアを伸ばした。

 BOCIは予想外の貨物車販売の好調を反映させる形で、20年の商用車販売見通しを前年比1.8%減から7.4%増へ大きく上方修正した。乗用車に関してはMPVの販売不振を考慮し、10.8%減から11.4%減へ小幅に下方修正。新エネ車については、乗用車90万-95万台、商用車11万-13万台との予測を据え置いた。

 旺盛な高級車需要を背景に、自動車セクターでは年初からメーカーに対するディーラー銘柄のアウトパフォームが鮮明で、中升集団(00881)、中国永達汽車服(03669)、中国美東汽車(01268)の年初来値上がり率が平均68%を記録。半面、部品銘柄は欧米での感染拡大を背景に苦戦し、平均15.8%下げた。BOCIは決算発表シーズンに向け、投資家の目が好業績銘柄に向くとみて、ディーラー3社に強気見通しを付与。ほかに上期業績の下押しリスクが小さい個別の完成車・部品銘柄の買い増しを推奨し、吉利汽車と長城汽車の株価の先行きに対し、強気見通しを付与している。