米国株式の「長期的な優勢」を支える要因を知る
なぜ米国株式は日本株式より優勢に推移してきたのでしょうか。日本株式の長期にわたる劣勢は、不動産バブル崩壊に続く金融不況、円高・デフレ不況の影響を受けてきたことが挙げられます。
今後も、少子高齢化の進行で総人口が減少するなか、人口動態の変化が日本経済の成長期待を抑制する現実を直視する必要がありそうです。
米国では生産年齢人口(15歳から64歳まで)が増加している一方、日本は減少しています。日本の労働人口はシニア世代(65歳以上)、女性、外国人労働者の就業参加やロボット導入で補わざるを得ず、持続的成長を期待しにくい状況です。
2007年に3億人を突破した米国の総人口は現在約3億2,800万人を超え、イノベーション(技術革新)の進展と資本(リスクテイク・マネー)が結びつくことで生産性改善や成長期待が後押しされてきました。
もちろん米国も「完全」ではなく、「貧富の格差」や「政治的な分断」など諸問題があります。現在進行形のコロナ禍と経済的影響も不透明です。とはいえ、コロナ禍が早晩終息に向かうなら、世界の経済や資本市場で「主役」を担い続ける米国の成長期待にあらためて注目したいと思います。
<図表2:米国株式が優勢である理由-日本よりも成長期待が高い>
図表2は、米国の名目GDP(国内総生産/ドル)と日本の名目GDP(同)の推移を示したものです。
日本の製造業・サービス業が生み出す付加価値合計(海外投資から得られる収益を除く)は2012年をピークに伸び悩んでいます。一方、米国の名目GDPは成長し続け、今や日本のGDPの約4.3倍に増加しました(2020年第1Qの年率換算)。