成約好調で収益成長見通し明確、不動産管理子会社のスピンオフ上場も支援材料に

現地コード 銘柄名
00813

世茂集団控股

(シーマオ・グループ・ホールディングス)

株価 情報種類

33.65HKD
(7/14現在)

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 世茂集団の20年上期の物件成約額は大手デベロッパーの中で最大の伸びを示したが、BOCIは下期もこの流れが続くとの見方。下期の成約額について、前年同期比30%超の伸びを予想している。また、20年6月中間決算に関しては、前年同期比1桁台の増収と粗利益率の横ばいを見込み、コア純利益の1桁台の伸びを予想。増資と不動産管理部門の一部権益の売却を受け、純負債比率がさらに改善する見通しを示した。その他の支援材料としては、約200億元の価値の創出につながる不動産管理部門のスピンオフ上場計画を指摘。利益成長見通しの明確さや財務の健全性を理由に、同社に対して強気の見方を継続している。

 同社の上期の物件成約額は前年同期比10%増の1,100億元と、大手・中堅デベロッパーの大半をアウトパフォームした。20年12月通期の成約目標は3,000億元だが、期中の分譲対象物件は5,000億元規模(20年に入ってから取得した新規プロジェクトやこの先着工するプロジェクトを含まない)。BOCIは上期に取得した新規プロジェクトを考慮した上で、通期の成約額が目標を超え、少なくとも3,200億元に達するとみている。この数字は前年比で23%増。下期の成約額は前年同期比31%の伸びとなる。

 20年6月中間決算について、BOCIは1桁台の増収を見込む。新型コロナウイルス後の建設作業の再開が順調に進んだことが背景。粗利益率は30%を若干上回り、前年同期の30.1%とほぼ同水準を維持するとみる。また、純負債比率は19年のレベル(永久債を株主資本と見なした場合は57.4%、負債に含めた場合は63.9%)を下回るとの見方。その理由として、20年上期に実施した第三者割当増資(総額69億HKドルを調達)と不動産管理部門の権益10%の売却(総額2億4,400万米ドル)を挙げている。

 同社は6月29日、香港証券取引所に不動産管理子会社のスピンオフ上場を申請したことを明らかにした。目論見書によれば、子会社の不動産管理収入は19年に25億元で、純利益は3億8,500万元、純利益率は15.4%。経営陣は20年通期の売り上げ見通しを50億元としており、仮に純利益率が前年並みであれば、通期純利益は7億5,000万元。保守的なPER(株価収益率)25倍をあてはめても、200億元近い価値が顕在化する計算となる。この不動産管理子会社に対する世茂集団の持ち株比率は現在90%となっている。

 世茂集団の現在株価は20年予想PBR(株価純資産倍率)で1.3倍と、BOCIが設定した1株当たり予想NAV(純資産価値:48.97HKドル)に対して31%のディスカウント水準。BOCIは利益見通しの明確さや財務の健全性を前向きに評価し、同社株価の先行きに対して強気の見通しを据え置いている。一方、潜在的なリスク要因としては、新型コロナによる国内経済や不動産市況への影響が予想外に大きくなる可能性を挙げている。