コロナ禍で、社会や経済はどう変わる?
——では、楽天だけでなく、教育、経済など、社会はどう変化していくと思われますか?
三木谷 ワクチンが開発されるとまた状況は変わると思いますが、ビジネス環境については、すべてにおいてリスク分散をしておいたほうがいいと思います。例えばショッピング。消費者はコロナが終息しても、完全には実店舗に戻らないかもしれません。レストランも同じです。コロナが終息しても以前ほど外食には行かないかもしれない。
楽天も5月7日から「楽天リアルタイムテイクアウト(*5)」を始めました。コロナ禍で苦しんでいる外食店を支援するために始めたサービスですが、企業としては、コロナ禍をきっかけに消費者の行動パターンが多様化する可能性も想定する必要がある。ビジネス出張がオンラインのミーティングに変わったり、観光で出かける先も、遠出ではなく、以前より近い場所で楽しむ傾向が強くなるかもしれません。つまり、人々の生活様式が大きく変わることが予想されるので、企業は新しいスタイルへの準備を常にしておくべきでしょう。
*5)楽天リアルタイムテイクアウト
5月7日に開始した、レストランやカフェなどの飲食店において、商品を事前注文・決済することが可能になるテイクアウト支援サービス。渋谷駅および五反田駅の周辺地域にある飲食店187店舗を先行導入店舗として開始し、順次全国の飲食店へと拡大しているという。
——三木谷さんは、かなり前から、対面が義務付けられていた医薬品販売のオンライン化やキャッシュレス化を提唱しています。一方で、改革を拒む動きも根強く、コロナが終息した後は元に戻ってしまう恐れもあります。コロナ後、日本ははたして変われるでしょうか。
三木谷 例えば、せっかく盛り上がった大学の「九月入学」を見送ったのは残念ですね。それを含め、日本には「改革をしたくない人」がまだまだたくさんいるんだ、と改めて認識しました。ある程度は変わっていくのだけれど、最後まで変化しきれない。10%をやり残してしまい、そこから元の位置までなしくずしに押し戻されるようなことがしばしば起こります。変化を止めたがる既得権益をなんとかしたい、と切に願います。