20年3月本決算は逆風下で23%増益、利幅改善が鮮明に

現地コード 銘柄名
03998

波司登国際控股

(ボスドン・インターナショナル)

株価 情報種類

 2.42HKD
(6/24現在)

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 暖冬や新型コロナウイルスの感染拡大という悪材料にもかかわらず、波司登国際の20年3月本決算は、売上高が前年比17.4%増の122億元、純利益が同22.6%増の12億300万元に達した。ダウン衣料部門は旗艦ブランド「波司登」が22.7%増収、「雪中飛(Snow Flying)」が37.8%増収。半面、レディース衣料は低調で、18.2%の減収だった。全体の売上高はBOCIの予想を0.4%下回ったが、純利益は予想を30.1%上回る数字。粗利益率の改善や政府補助金の増加、コスト管理の強化などが利益の上振れ要因となった。BOCIはこの先一段の利益率の改善余地を指摘。21、22年度の予想売上高をほぼ据え置く半面、間接費の低減を織り込み、予想純利益をそれぞれ23%、19%増額修正した。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 20年3月期の売上高はほぼBOCIの予想通りで、市場コンセンサス予想をやや下回る水準だった。ただ、粗利益率は55.0%と、前年度の53.1%から上向き、BOCIの予想54.4%をさらに上回る数字。「雪中飛」とレディース衣料の粗利益率が低下する半面、旗艦の「波司登」ブランドの粗利益率が前年の60.6%から63.4%に大きく上向いた。また、ハイエンドのダウン衣料顧客の取り込みを狙ったことで、マーケティング費用は増大したが、それでもBOCIの予想以下に抑制された。政府補助金が前年の8,400万元から1億5,700万元に急増したことで、営業利益率は前年並みを維持。税率の25.3%への低下による影響で、純利益率は前年の9.5%から9.9%に上向いた。

 販路の最適化に向けた作業は依然進行中だが、数年にわたる再編を経て、20年3月期には店舗数が再び増加に転じた。20年3月末の店舗総数は5,398店で、うち専門店は64.0%。直営店は40.9%を占めた。また、店舗全体のうち、90%以上がダウン衣料の販売店で、この割合は18年3月期の83.2%から上昇傾向にある。

 オンライン販売は20年3月期に、売り上げ全体の19%を占めた。ブランド・ダウン衣料の売上高に占める割合は24%。同社はさらに一歩踏み込み、中国版LINE「微信」上での販売を試験的に開始したが、出足は好調。20年に入ってからの新型コロナの流行期において、「微信」を通じた旗艦ブランドの売上高は7,000万元に達し、DAU(デイリーアクティブユーザー)は最大200万人を記録した。BOCIはブランドの収益化や顧客忠誠度の向上に寄与するとみて、こうした取り組みをプラスに評価している。

 BOCIは利益見通しを増額修正した上で、これまでと同様に21年度予想PER(株価収益率)20.0倍をあてはめ、目標株価を引き上げた。株式報酬制度の詳細発表やイノベーションを通じたブランドの活性化、ファッション性の向上などがこの先の支援材料になり得るとの見方。一方、マイナスの潜在要因としては、暖冬や新型コロナの第2波到来の可能性、マーケティング費用が高止まりする可能性などを挙げている。