「業績がいいのに株価低迷」を疑問に思うことが大切

 熊本地震でスマホカメラ向け半導体の主力工場が被災し、一時的に株価が低迷していたソニー(6758)に、アークランドで利益を出した資金の大半を投資して2年で2倍高。アベノミクス初期の頃、好景気が続くと人材不足が深刻化するという判断で『四季報』から探したウィルグループ(6089)でも3倍高を奪取するなど、「成長可能性のある銘柄が不人気になって株価が下落した絶妙のタイミングを狙う」のがエナフンさんの持ち味。

「業績が上向きで安定成長しているにもかかわらず株価が長期的に横ばい」「業績悪化の原因が経営改革にともなう一時的な損失によるもので、ビジネスモデル自体はむしろ健全化している」といった目のつけどころは、プロでもなかなかマネできないほど鋭いものだ。

 そんなエナフンさんも、時には失敗もあったという。

 オーダーメード紳士服のネット販売というビジネスモデルに注目して買ったオンリー(3376)で、20%の損切りを強いられたのは、働き方改革やリモートワーク普及で紳士服という市場自体がしぼみ始めたためだった。エナフンさんが反省するように「投資先企業の成長の前提が崩れ、もう成長する見込みがなくなったときにはスパッと利益確定もしくは損切りする決断力も必要(エナフンさん)」なのだ。

「2008年のリーマン・ショック以降の投資はほぼ一貫してうまくいっています。コロナ・ショックで暴落した2020年2~4月は一時的に前年比30%のマイナスに沈みましたが、5月になって±0%まで取り戻すことができました」と語るエナフンさん。

 お宝株を人知れず発掘できる独自の着眼点や、実地調査もいとわない行動力、成長が続く限り、一時的に下がっても株を長期保有し続ける信念と忍耐力、そして、成長がピークに達したら、これまでの成功体験に酔うことなく利益確定できる見切りの速さはぜひ見習いたいもの。

「丹念に有望そうな銘柄を探索する努力を継続すれば、きっとお宝株に巡り合えます。でも、それだけじゃだめ。その株を忍耐強く、2~3年持ち続ける覚悟も大切です。そうすれば新型コロナウイルスなどの危機が来ても、きっと乗り切ることができると思います」(エナフンさん)

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エナフンさんプロフィール

 長期投資をテーマにした人気ブログ「エナフンさんの梨の木」を運営。サラリーマン投資家ながら割安成長株投資で数億円の利益を上げたプロ顔負けの投資歴を持つ。結婚を機に「妻と一緒にお金持ちになりたい」という一心で貯めた2,000万円を元手に、「かつや」のアークランドサービスHDなど10倍株(テンバガー)を2度ゲット。身近な生活圏にあり成長を実感できる割安な内需成長株に長期集中投資する手法で成功を収めている。著書に『“普通の人”だから勝てるエナフン流株式投資術』(日経BP社刊)。
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