<売らないこと>が大事

 株で儲けるための手法はいろいろありますが、そのどれもが誰もが適用できるものでもありません。投資の世界は難しく、様々な情報やそれと共に心理が絡んできますので、投資で成果を上げるのは簡単ではありません。巷で出ている本を一生懸命読んでみたり、多くの研究をして如何に投資すべきか、日々悩んでいる投資家も多いと思います。そして自らの投資に関しては<何故あの時に売ってしまったのか>とか<あの時点で買っていれば良かったのに>というような後悔の念にさらされることも多いのではないでしょうか。昨今では日経平均が2万円乗せにまでなっているので、自らのパフォーマンスを振り返って自分の投資成績を嘆いたり、自分の投資手法に関して疑問を持ったりする人も多いと思います。投資には絶対的な手法はありませんし、日々勉強で失敗しながら学んでいくものと思っているかもしれません。

 私は2012年6月の段階で拙著<2013年、株式投資に答えがある>を出版して日本の株式市場の歴史的な上昇転換が始まったことを指摘しました。その後数冊の本を出版してきましたが、今回の上げ相場は相当大きいと一貫して株式投資に対して強気な姿勢を貫いてきました。その間、一度として日本の株式市場に弱気になったことはなく、歴史的な大相場が始まっているということを自らの著書で指摘し続けてきました。そして決して<株を早く売るべきではない>、<徹底的に保有すべき>、とアドバイスしてきたのです。その中では多くの財を成した人もいたでしょうし、反対に投資がうまくいかなかった人もいたと思います。

 ただ私が言いたかったことは<儲けることとは辛抱すること、そして今回のような大相場の時は株を決して少しの利食いや細かい儲けで売るべきでなく、長く保有して大きな利益を獲得すべきである>という単純な投資手法なのです。

 <株を少しの儲けで売らない>、ということは一見簡単なようで実は難しい、特に難しいのは<儲かった株を売らないで持ち続ける>という辛抱です。普通投資家は損した株に関しては<塩漬け>と言って損をしているから売れない、といつまでも何年でも何十年でも持ち続けます。ところが儲かっている株になると下がってしまうかもしれない、儲けを確定しておかなければ、と簡単に売却してしまうのです。その結果自分の株のポートフォリオには損した株だけが並んでいるということになってしまいます。心当たりがある人も多いのではないでしょうか。

 このような投資手法がうまくいかないということは全く逆の発想がいるわけで、今までとは逆に儲かった株に対して<塩漬け>の覚悟のように徹底的に持ち続けるということが肝要なのです。何故あなたは持ち株が損しているときは保有し続けることができるのに、儲かっているときは保有し続けることができないのか?このことを自問自答してみる必要があります。儲かっている株はあなたに投資において非常に相性がよく大事な宝物なのです。そのような宝物は簡単に手放してはならないのです。かえって買ったら思惑が外れてうまくいかなかったような株ほどあなたとは相性も悪いわけだからすぐに手放してもいいのです。長く<塩漬け>になるような株にいつまでも付き合い続ける必要はありません。あなたに幸福を与えてくれた株こそ大事にして持ち続けて大きな投資の大輪を咲かせるべきなのです。

 こう読んでいくとそんな簡単にいくのか、と疑問を呈するかもしれません。でもあなたに必ず思い当たることがあるはずです。売った株が上がり続けている、あのとき乗り換えるべきではなかった、との思いがありませんか?

 今回のアベノミクスが始まってからの大相場を振り返ってみてください。日経平均は8,000円台から今や2万円の大台を超えたのです。今日本の投資家の間で一番ポピュラーな日経平均レバレッジ投信(1570)を保有しているだけであなたの資産は約5倍にも増えているではないですか!何故あなたは無駄な売り買いを繰り返したのですか?何も考えずにただ保有していれば誰よりもあなたの投資が優っていたのではないですか!これが大きな相場にぶち当たった時の実体なのです。余計なことやテクニカルや日々の細かいことなど考える必要などない!ただデフレからインフレへの歴史的な波を信じて、株を保有していればいいのです。売り買いなどする必要もない、あなたが相性が良かった株をただ、ただ保有し続ければあなたの投資は確実に成功していたはずだ、振り返ればあなたは誰よりもそのことを感じるに違いない。

 だから私は言い続けた、<売るな!><大相場を信じて取り組め!>これが大変なことなのはわかります。でも損した株を何年も<塩漬け>で持ち続けることができたあなたが何故儲かった相性のいいあなたにとって宝物の株を<持ち続けられないのか!>この単純な構図こそが投資のキーであり、あなたを投資の勝者に導くものなのです。投資は何が大事なのか、次項でもじっくり解説していきます。