国内単距離旅行の回復が追い風、下期に業績改善見通し

現地コード 銘柄名
03690

美団点評

(メイトゥアン・ディエンピン)

株価 情報種類

 159.6HKD
(6/11現在)

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    BOCIは国内の近距離旅行が回復しつつある現状に触れ、美団点評がその代表的な恩恵銘柄になると指摘している。同社の店舗予約・ホテル・旅行サービス業務の需要増につながることが理由。また、7-9月期、10-12月期には営業利益率が再びプラス化すると予想。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を大きく引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

    20年1-3月期には売上高が前年比12.6%減少し、純損失2億1,500万元(非IFRS)を計上したが、原因の一つが店舗予約・ホテル・旅行部門の31%の減収だった。ただ、近距離旅行はすでに回復しつつあり、全国統計によれば、4-5月には旅客輸送数の減少幅が縮小傾向を示した。また、4月には航空券1枚当たりの移動距離が16%縮小する半面、鉄道切符1枚当たりの移動距離が2%延びた。海外旅行が難しい状況にある中、近距離志向が強まっていることが示唆された。夏の家族旅行も、国内の比較的近場の旅行に切り替わる可能性が高く、こうした傾向は同社に有利となる。同社の店舗予約・ホテル・旅行業務は、若年層やコストパフォーマンス重視の消費者層を中心に人気が高い。

  BOCIは店舗予約・ホテル・旅行業務が5月後半から回復に向かった点に注目しながらも、20年4-6月の段階では同社全体の採算化は依然厳しいとし、非GAAPベースで10億7,400万元の赤字を見込む。ただ、続く7-9月期、10-12月期にはかなり業績改善が期待できるとの見方。2桁増収を回復するとともに、非GAAPの営業損益レベルで採算化が期待できるとした。20年12月通期に関しては、予想純利益(非GAAP)を47.8%増額修正し、42億6,000万元に設定。半面、21年、22年についてはネット出前ビジネスの粗利益率悪化を織り込む形で、30.2%、50.3%減額し、118億6,700万元、132億5,100万元に設定している。ネット出前事業のテイクレート(取り分)に関しては、15%前後でほぼ横ばいに推移すると予想。フルフィルメント(受注から配送まで一連の業務)コストの増大はおおむね、規模の拡大と効率化で吸収できるとみる。

    一方、新規業務・その他部門に関しては、20年末までに損益分岐点に達するとの見方。主に配車サービス、シェア自転車事業の赤字縮小がその原動力になるとしている。

    BOCIは20-30年の利益見通しをベースにDCF方式を用い、目標株価を引き上げた。長期リスクフリーレートに関する想定値を3%から2.5%に引き下げ、WACC(加重平均資本コスト)を8.8%と想定したもので、新たな目標株価は20年、21年予想PER(株価収益率)でそれぞれ225倍、87倍(非GAAP)に当たる。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、マクロ経済の減速や外食・サービス分野の中小企業に対する逆風が長期的な規制リスクをもたらし、自律成長の重石となる可能性を挙げている。