都市ガス事業の追加取得で販売量の伸びを楽観、原油相場の底入れもプラス

現地コード 銘柄名
00135

昆侖能源

(クンルン・エナジー)

株価 情報種類

4.92HKD
(6/11現在)

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 BOCIは昆侖能源の株価の年初来下落率が28%に達したことで、同社に対する投資家の懸念はほぼ株価に反映されたとみている。川上のガス供給事業を持つという同社のアドバンテージがこの先、川下のガス販売量の伸びを後押しすると予想し、最近の原油価格の回復も業績悪化懸念の払しょくにつながると指摘。ガス販売量と原油相場見通しの引き上げに伴い、20-22年の予想コアEPS(1株当たり利益)をそれぞれ5-6%増額修正した。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 同社の小口顧客(リテール)向けガス販売量は19年に180億立方メートルと、中国ガス(00384)を上回り、新奥能源(02688)と華潤ガス(01193)に続く規模となった。19年には都市ガス・プロジェクト46件を追加取得したが、BOCIはこうしたプロジェクトの獲得能力が今後も、同業銘柄を上回るガス販売量の伸びにつながると予想。同社が設定した20年のリテール販売量目標の「前年比15%増」は達成可能とみている。

 国際原油相場の一時的な急落は同社株の売り材料の一つとなったが、原油相場はすでに底値から大きく持ち直しており、BOCIは原油探査・生産(E&P)部門が20年に赤字となる可能性は後退したとの見方。多くの石油プロジェクトが期限切れとなる23年まで、E&P部門に起因する同社利益の大幅なぶれは、さほど懸念すべき状況にないとしている。

 中国では現在、新たに発足した国有パイプライン企業、国家石油天然気管網集団が関連資産の取得をめぐって複数企業と協議を進めている。昆侖能源が新会社に移管することになる資産は、陝西-北京パイプラインの権益60%と大連LNGターミナルの権益75%。この2つの資産の簿価総額は19年末時点で計210億元強だった。仮に、現金で対価を受け取れれば、今後のM&A(買収や合併)をにらんだ軍資金の確保につながる見込み。あるいは特別配当を実施する可能性もあるという。

 BOCIは同社の利益見通しについて、一段の上方修正余地を指摘している。現在の予想値は、20年の住宅向け新規ガス管接続件数を70万件とする同社経営陣のガイダンスをあてはめた数字だが、これは19年実績のわずか半数に過ぎない。

 BOCIは香港上場の主要ガス銘柄の目標株価を設定する上で、20年予想PBR(株価純資産倍率)対ROE(株主資本利益率)の回帰分析を用いているが、最近の同業銘柄の株価上昇を受け、目標設定基準となる20年予想PBRが0.78倍から1.10倍に上昇。この数字に沿って同社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。レーティング見直しにつながる可能性があるリスク要因としては、LNG加工プラントの採算性が予想を下回る可能性、不利な条件で国有パイプライン企業への資産移譲を迫られる可能性の2点を挙げている。