元本の6割まで減っても投資をやめようとは思わなかった

──投資を始めたころ、パフォーマンスはどうだったのですか。

 出足はまずまずでしたが、3、4年後リーマンショックが訪れ、それを機に一気にマイナスに転落しました。僕は毎月給与の一部を積み立てるというやり方をしているのですが、リーマンショックのときは「さすがにもう底値だろう」「ここまで下がったら買いだろう」などと考え、スポット買いもしました。でも、買った後にさらに下がったりして、底を見極める難しさを思い知らされました。

──いつごろプラスに転じました?

 一時、元本の6割まで減り、そこから少しずつ回復しましたが、元本に戻るまでにはそうとう時間を要しました。なにしろ53カ月連続マイナス状態が続いたんです。ようやくプラス域に入ったのは、第2次安部政権が始まった2012年だったと思います。

──4年5カ月マイナス域から脱出できなかったわけですよね。人によっては辛抱しきれないと思うのですが、当時投資をやめようとは思いませんでした?

 それはまったくなかったですね。過去の株式市場の動きを見ても何十年も低迷が続いたことはないですし、そのうち上向くだろうと漠然と思っていました。それに、生活資金以外はすべて投資に回していたというわけではなく、ある程度預貯金もしていたんです。だから、万が一、紙切れ同然になったとしても生活に困るようなことはなかった。そういう安心感もあったかもしれません。

──でも、プラスに転じたときはうれしかったのでは?

 それはそうですね。ただ、株式市場なんていつどうなるかわかりませんから、そのうちまたマイナスに戻るかもしれないという思いもありました。まあ、それは杞憂に終わるわけですが。長くコツコツ続けていたことで、最近になって投資した金額の2倍近くまで増やすことができたんです。

──奥様も喜んだのでは?

 妻にはあまり詳しいことは話していなかったんです。でも、いつだったか、「とうとう2倍になったよ」と話したらさすがにうれしそうでしたね。

評価損益率の推移(2006年~2018年)

(1)インデックス中心で投資を始める

 最初はインデックスとアクティブ両方を購入したが、当初はインデックスの比率が圧倒的に高かった

(2)53カ月連続マイナスも慌てず投資を続ける

 この間も月々の投資額を減らそうとか、投資をやめようと思ったことは一度もないという

(3)マイナス域から脱出し、順調に資産を増やす

 保有ファンドの多くが好成績を上げ、一気に元本の2倍近くまで資産を増やす

(4)アクティブファンドを増やし始める

 資産が大きくなり余裕が生まれたため、本来やりたかったアクティブ運用にシフトしていく

(5)チャイナショックで後退するもすぐに盛り返す

 2016年後半から2018年にかけて過去最高の運用成績を残す