欧州の新しい動き

(3)の欧州動向については、EU(欧州連合)復興基金創設と英国のEU離脱交渉に注目です。

 このコラムで何回も触れているEU復興基金創設への期待が続いており、ユーロが5月の月末最後の二日間で大きく上昇しました。それまでの重要ポイントである1.10をレンジブレークしました。6月にはいってもユーロは上昇し、ユーロ/円も121円台に乗せてきています。

 ポンドも、EUとの離脱交渉が月内開催との報道によって交渉進展期待が高まり上昇し、ポンド/円も上昇しています。

 EU復興基金創設と英国のEU離脱交渉進展は、5月の終わりから出てきた欧州の新しい動きであり、今後も期待は続きそうです。

米株上昇に支えられたドル安・円安

 ユーロ高、ポンド高に加えて豪ドルも上昇しており、5月は全般的にドル安で取引を終えています。ドル/円は、これらユーロ/円やポンド/円、豪ドル/円の円安に引っ張られて円安に動きました。5月に動かなかったためエネルギーが溜まっていたのか、一気に108円台後半まで上昇しました。

 このドル安・円安の動きは、期待先行の株価上昇によって支えられているため、株価動向には注視していく必要があります。また、ドル/円は主体性がない動きのため、ドル安によってブレーキもかかっていることや、溜めていたエネルギーを一気に噴き出したことからここからの伸びは鈍くなることが予想されます。そしてクロス円の伸びがなくなれば、ドル/円も失速するため注意が必要です。

 景気回復期待が先行し株価を押し上げた5月に対し、6月は先行していた期待が剥落するのかどうか、また、「内憂外患」のトランプ政権、新しい動きが出始めている欧州という要因が加わり、6月は複雑な動きになりそうです。