バランス型の事業構成に強み、「最もディフェンシブな電力銘柄」

現地コード 銘柄名
00836

華潤電力控股

(チャイナ・リソーシズ・パワー)

株価 情報種類

8.36HKD
(5/19現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 BOCIは華潤電力控股のバランスの取れた事業ポートフォリオや利益の弾力性を高く評価し、政策やファンダメンタルズ面で不透明感が漂う中にあっても、こうした強みが魅力的な配当利回りを支えるとみている。フォワードPBR(株価純資産倍率)0.8倍、20年配当利回り5.5%に相当する目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 同社は早い段階で再生可能エネルギーへのシフトを進めたため、石炭火力発電事業が持つ不安定要素(石炭価格の変動や火力発電を対象とした電気料金引き下げなど)による影響が、同業他社に比べて小さい。石炭価格の下落局面では、同社のこうした特徴はさほど魅力的に見えないものの、BOCIはバランスの取れた利益構造や力強いキャッシュフローを強みとする低リスクの高配当銘柄であるとの認識。中国の「両会」(全国政治協商会議と全国人民代表大会)開幕を控え、石炭価格が底入れの兆しを見せ、電気料金の引き下げ観測が再燃するとみられる中、同社を最もディフェンシブな電力銘柄と位置付けている。

 中国政府は製造部門の電力コストの軽減に向け、「両会」会期中に改めて電気料金の引き下げに言及する可能性がある。そうなれば、火力発電の電力値下げに対する投資家の警戒感も再燃する見込み。BOCIの感応度分析によれば、基準価格が1kWh当たり0.01元引き下げられるごとに、同社の火力部門のEBIT(利払い・税引き前利益)は約15%目減りする。ただ、基準価格の引き下げは火力だけでなく、再生可能エネルギー発電にも影響しかねないため、政府は直接的な基準価格引き下げに対して慎重姿勢で臨む可能性もあるという。

 BOCIは稼働時間数の下押しを理由に、火力発電部門の利益見通しを下方修正したが、再生可能エネルギー部門に関しては、20年に前年比23%(EBIT)の力強い利益成長を見込む。稼働時間数の高さと新規設備の導入が背景。同社は20年に、新たに風力発電設備3.5GWを導入する計画だが、BOCIは新型コロナウイルスに起因するタービン供給への影響を見込み、想定値を3.2GWに下方修正している。

 BOCIは今回、火力発電部門の利益見通しを引き下げる一方、再生可能エネルギーの利益見通しを引き上げるため、全体の修正幅は小さく、20-22年にそれぞれ0%、▲2%、+3%。現在株価は基本予想シナリオに基づくフォワードPBRで0.5倍、20年の予想配当利回りで9.2%と、かなり魅力的な水準にあるという。

 一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは風力発電向け補助金の削減、動力炭価格の予想以上の高騰、火力発電を対象とした予想以上の電力価格引き下げの可能性を指摘している。