4月の新車販売が18年7月以来のプラス成長回復、5月も増加傾向持続か

 中国の新車販売台数(卸売台数)は4月に前年同月比4.4%増の210万台と、18年7月以来21カ月に及ぶマイナス成長局面にようやく終止符を打った(前月比43.5%増)。乗用車は前年同月比2.6%減(前月比45.6%増)と下げ幅が縮小し、商用車に至っては31.6%増加(同37.7%増)。BOCIによれば、新型コロナウイルスの収束や、中央・地方当局による購入刺激策、ディーラーの在庫補充の動きなどが販売押し上げに寄与した。

 乗用車ではSUVが前年同月比7.3%の増加に転じ、セダン車も6.2%減まで持ち直したが(1-3月は前年同期比47.6%減)、MPVは36%減と依然低調(同63.3%減)。商用車では貨物車が34.2%増、バスが5.2%増。春が需要期に当たる上、全国的な5Gインフラ投資の拡大、排ガス基準の強化に伴う買い替え支援策が需要の伸びを後押しした。

 ブランドの国別では日本とドイツが堅調。日系はトヨタ(広汽トヨタが47%増)とホンダ(東風ホンダが19%増)が好調で、4月に前年同月比10.0%増。ドイツ系はフォルクスワーゲンの苦戦を、北京ベンツやブリリアンスBMWなどの高級車種がカバーし、全体で1.1%増。海外勢ではほかに、米国系が8.2%減、韓国が26.3%減、フランスが41.2%減。中国国産ブランドは9.4%減だった。1-4月のシェアは、ドイツ系が24.8%、日本が22.8%と19年比で上昇したが、その他はいずれも低下した。

 一方、新エネルギー車の販売台数は4月に26.5%減と、引き続き新車市場全体をアンダーパフォームした。前年実績の低い商用車が23.0%増に転じる半面、乗用車は30.4%減。1-4月では、新エネ車全体で43.4%減の20万5,000台にとどまった。

 エンドユーザー需要の回復を受け、4月には業界全体の在庫圧力が和らぎ、ディーラーレベルの月末の在庫係数は1.76カ月と、3月末の2.68から低下した(中国汽車流通協会調べ)。高級車・輸入車が1.33カ月まで下がる半面、国産ブランドと中外合弁ブランドは2.31、1.83と、いずれも引き続き警戒レベル(1.5)以上だった。

 BOCIは5月も卸売販売台数の増加傾向が続くが、短期的には伸び率が減速するとの見方。中期的にはポストコロナの景気減速と消費者心理の後退を予想しつつ、感染防止意識の高まりによるマイカー志向を理由に需要が伸びるとみる。中央・地方政府の購入刺激策も寄与するとの見方。20年通期の乗用車販売台数は前年比10.8%減を見込む。

 BOCIによると、香港上場の自動車銘柄の現在株価は、20年、21年予想PER(株価収益率)で平均11.7倍、9.1倍。新型コロナの流行が一過性であるとの前提の下、マーケットが重視するとみられる21年予想PERは、ディーラー銘柄が平均11.7倍で、自動車部品が10.2倍、完成車銘柄が7.2倍の水準にある。BOCIは個別では、広州汽車集団(02238)、吉利汽車(00175)の株価の先行きに強気。ディーラーでは中升集団(00881)と中国永達汽車服(03669)に強気見通しを示している。