中国の豚肉ビジネスが好調持続、米国事業は段階的に正常化へ

現地コード 銘柄名
00288

万洲国際

(WHグループ)

株価 情報種類

7.14HKD
(5/14現在)

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 BOCIが13日に開催した万洲国際のカンファレンスコールで、同社経営陣は改めて自社の中国事業に対する自信を示した。販売量の回復や川上のコスト低減による川下ビジネスの高収益性が背景。米国事業に関してはかなり厳しいとしながらも持ち直しつつあると報告した。BOCIによると、同社の現在株価の20年予想PER(株価収益率)は9.3倍と子会社の河南双匯投資発展(深セン000895)の23.3倍(市場予想ベース)を大きく下回る水準。BOCIは目標株価を据え置き、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 まず中国ビジネスを見ると、生体豚価格の下落が高収益性の維持につながる見込み。経営陣は以下のように報告している。パック肉事業の20年1-3月の利益は、販売量が前年同期比7.5%減少したにもかかわらず、同31%の伸びを示した。販売店レベルの低在庫と小売価格の23%の上昇を背景に、単位当たり収益性は過去最高水準に達した。生体豚生産が増加に転じる中、経営陣は今後も販売量の回復傾向が続くとの見方。また、下期には生体豚価格が下向くと予想し、年内は高収益性を維持できるとみている。同社全体の豚肉販売量は20年1-3月に前年同期比16%減。解体処理量の65%の落ち込みを輸入冷凍肉が一部補った。経営陣は20年には、全体の販売量がプラス成長を確保すると予想し、同事業の利益に関しても19年をやや下回る程度の水準を見込む。輸入に関しては、同社は関税優遇措置の対象となっており、この優遇は年内続く可能性が高い。米国からの豚肉輸入量は19年通年の約40万トンに対し、20年1-3月には17万トンに達しており、経営陣は20年通年の輸入量の拡大を見込む。

 一方、米国事業は新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けたが、一時操業停止となった工場5カ所がここに来て生産を再開。段階的に正常化に向かっている。米国事業に関する情報は以下の通り。全米規模の解体処理場の閉鎖で供給過剰感が高まり、生体豚価格は軟化傾向。全米豚肉生産者協議会は業界全体の20年の損失が50億米ドル規模に上るとみている。ただ、同社の場合はヘッジが機能し、20年4-6月、20年通期の利益計上が見込めるという。BOCIは豚肉価格の急騰と生体豚価格の軟化によるスプレッドの拡大で、生鮮豚肉部門の好業績を予想。パック豚肉の販売量は1-3月に3.7%増。小売販売が8%増加する半面、外食で11%減少した。経営陣は4-6月には悪影響がさらに顕在化するとみる。一方、EU事業は生産基地のポーランドやルーマニアとパンデミック化が深刻な西欧に距離があるため、悪影響は軽微であると報告している。

 BOCIは利益見通しを据え置くとともに、20年、21年予想PERで14.0倍、13.7倍に当たる目標株価を維持した。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、河南双匯投資発展の予想以上の業務量縮小や新型コロナによる米国事業への影響が長期化する可能性を挙げている。