グローバルR&D戦略を開示、米中両国で新薬開発が加速

現地コード 銘柄名
02196

上海復星医薬(集団)股フン有限公司

(シャンハイ・フォサン・ファーマスーティカル)

株価 情報種類

28.20HKD
(5/7現在)

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 上海復星医薬は「世界R&D(研究開発)デー」で、自社のR&D戦略や子会社4社に関する最新情報を明らかにした。子会社4社は復創医薬研究(Fochon Pharmaceuticals)、復星弘創(蘇州)医薬科技(Fosun Orinove PharmaTech)、上海復宏漢霖生物技術(Shanghai Henlius Biotech)、復星領智(上海)医薬科技(FosunLead)の各社。

  同社はR&D戦略で19年に中国国内で臨床試験実施申請(IND)7件と新薬承認申請(NDA)3件を実施。米国では19年にIND2件が承認を受けた。この2件は優先承認審査(ファストトラック)指定の「ORIN-1001」と、稀少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定の「FN-1501(CDK4/6)」。今後も米中の臨床資源を活用する。中国は患者人口の大きさや米国と異なる医療ニーズが開発上の利点。米国は世界的に認められた創薬イノベーション規制の枠組みで優位性が高い。同社はすでに、2,200人規模のR&Dチームを創設済み。19年の研究開発費は31億3,100万元と売上比率が14.4%(17年9.8%、19年12.0%)に上昇したが、経営陣は今後も15%以下を維持する意向だ。

 子会社4社に目を向けると、米サンフランシスコ、重慶、上海に拠点を置く復創医薬研究は低分子医薬品に照準を合わせ、R&Dパイプライン(製品候補群)を構築している。ALK/ROS1やBCL-2、BTK、pan-TRL(第1・第2世代)、CDK4/6、MEK、pan-HER、PI3Kdelta、URAT、DPP-4などをターゲットとした製品候補がこれに含まれる。

 一方、17年創業の復星弘創は蘇州とロサンゼルスにR&D施設を置き、がん細胞代謝と関連する低分子抗がん剤の開発に照準を合わせている。治験段階のファースト・イン・クラス(類似薬がなく、その分野で最初に登場した医薬品)であるIRE1a阻害剤「ORIN-1001」について、同社はがん細胞の生存メカニズムを標的とした新種の治療法として機能することを確信しているという。「ORIN-1001」は19年6月に米FDA(食品医薬品局)からファストトラック指定のIND認可を受け、現在、血液がん以外の固形がんと乳がんを対象としたフェーズ1の臨床試験を実施している。中国国内では、年内にバスケット試験(がんの部位を制限しない試験)が始まる見通しという。

 このほか、香港上場の上海復宏漢霖生物技術(02696)はリャマ(ラマ)由来のシングルドメイン抗体(sdAb)からフェドバッチ(流加培養)プラットフォームまで幅広くカバーする統合型のR&Dプラットフォームが強み。子会社4社のうち、残る復星領智はインキュベーションプラットフォームとしての役割を担う。

 BOCIは新型コロナの影響や販管費の増大見通しを反映させる形で、20-21年の利益見通しを修正。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き下げた。新たな目標株価は21年予想PER(株価収益率)で20倍相当。潜在的なリスク要因としては、パイプラインに関するリスクや、M&A、事業統合を取り巻く不透明感、政策リスクを挙げている。