株が投資するに値する価値を生むのは、下のバフェット指標の黄色の帯のゾーン、70~50のレベルまで下落した時である。
バフェット指標とバリューゾーン
グリーンストリートの商業用不動産指数
グリーンストリートが発表している米国の商業用不動産指数をみると、最新のデータ(2020年2月)の数字は133.5となっている。この指標はリーマンショック前の商業用不動産指数のピークを100として計算したもので、現在の商業用不動産指数が、いかに割高かがわかる。
モルガンスタンレーは12月に2番目のコロナウイルスのピークがくると予想
1918年のスペイン風邪のパンデミック(世界的大流行)の推移
3年間に3回のピークがあった
これまでFRB(米連邦準備制度理事会)は金利を引き下げ、「市場を支える」政策をおこなってきた。しかし、これらの行動は意図しない結果をもたらし、金融市場で「ブームと破裂」が繰り返し起こる現象につながった。これまでの10年で積みあがった過剰流動性が作り上げたモンスターバブルが、現在のような小さな修正でリセットされることはないだろう。
コロナ禍でヒト・モノ・カネの動きが止まり、1929年の世界恐慌以来の危機を迎えている。ライフサイクルでみた長期投資の買い場はもう少し先になりそうだ。
1929年以来の危機と言われる今、これから失業者が沢山増えるだろう。コロナ禍のドサクサに紛れて、一気に監視社会が到来しようとしている。
近代以前の権力は、ルールに従わなければ殺す(従うならば放っておく)というものだったが、近代の権力は、人々の生にむしろ積極的に介入しそれを管理し方向付けようとする。
こうした特徴をもつ近代の権力を「生-権力」とフランスのポストモダンの哲学者フーコーは呼ぶ。
具体的には2つの現れ方があり、1つは個々人の身体に働きかけて、それを規律正しく従順なものへ調教しようとする面である。学校や軍隊において働くこの種の権力は「規律権力」とも呼ばれる。
もう1つは、統計的な調査等々にもとづいて住民の全体に働きかけ、健康や人口を全体として管理しようとする面である。
こうしたフーコーの権力論は、近代になって個々人の自由が広く認められるようになったという一般的なイメージを覆し、近代は個々人を巧妙に支配管理する権力技術が発達してきた時代として捉えるものだった。
またこれは、政治権力を奪取しさえすれば理想社会が到来すると見なす、マルクス主義的な権力観に対する根底的な批判でもあった。
(西研一)
スマホの位置情報やキャッスレス通貨の普及で人間の管理が始まっているが、人間を家畜のように監視する「生-権力」が世界中でまかり通っている。ジョージ・オーウェルが『1984』で描いた全体主義と家畜社会の足音がきこえてきている。
NY大学のヌリエル・ルービニ教授は『2020年代に訪れる大不況』というレポートで、「経済のより広範なレベルがデジタルの影響を受ける。何百万人もの人々が職を失ったり、収入を減らしたりするなか、貧富の格差はさらに拡大するだろう。将来のサプライチェーンショックを防ぐために、先進国の企業は低コスト地域から高コストの国内市場に生産を戻す。しかし、この傾向は、国内の労働者を助けるのではなく、自動化・AI化をさらに加速させ、賃金に下押し圧力をかけ、ポピュリズム、ナショナリズム、排外主義の炎をさらにあおるだろう」と述べている。
現在、FRBは再び米国の中間層を犠牲にしている。この20年でFRBが富裕層の利益のために中間層を標的にしたのは3回目だ。ジャンク債を含むリスクの高い債務の救済は、従業員ではなく大口の投資家を助ける(逃げ場を作る)ためのものである。