20年1-3月期に9%増益、コスト効率改善も景気悪化がリスク要因に

現地コード 銘柄名
00998

中信銀行

(チャイナ・シティック・バンク)

株価 情報種類

3.58HKD
(4/24現在)

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 中信銀行の20年1-3月期の純利益は前年同期比9.4%増の144億5,000万元と、BOCIの予想から3.9%上振れた。主に法人所得税率と非支配株主持分が予想より低かったため。業務規模の拡大やその他営業収益の増加、コスト効率の改善などを受け、引当前業務純益は13.2%の伸びを示した。経常費用の対収入比率は22.1%と、前年同期比で3.13ポイント低下。ROE(株主資本利益率)とROA(総資産利益率)はそれぞれ、平均12.85%、0.85%と、前年同期比0.26ポイント、0.03ポイント低下した。BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 20年1-3月期末現在、資産、負債、貸出、預金はそれぞれ前期比4.2%、4.2%、3.9%、5.9%増。資産の拡大は主に貸出の伸びによるもので、ほかに金融投資やレポ取引の伸びも寄与した。負債の増加は預金規模の拡大が背景。期中の純金利マージン(NIM)は平均約1.88%。貸出金利の低下が影響し、同じ算出法に基づく19年通期の平均値を0.13ポイント下回った。

 不良債権指標は1-3月期に明らかに悪化し、不良債権比率は前期比0.15ポイント高の1.80%。不良債権残高は13.1%増と、17年1-3月期以来の高い数字を記録した。減損損失は226億元と、前年同期比18.4%増。引当金の積み増しを受け、不良債権カバー率は177.37%と、前期を2.12ポイント上回った。

 一方、役務取引等利益(純手数料収入)は1-3月期に前年同期比6.7%減と、19年の2桁増からマイナス成長に転じた。BOCIによれば、新型コロナウイルスに起因する経済活動の停滞が響いたもよう。ただ、証券投資や再評価が寄与し、投資運用益および評価益が44億7,000万元、21億2,000億元と、それぞれ前年同期比56.3%、244.6%の増加を記録している。

 このほか、3月末の自己資本比率を見ると、コアTier1(狭義の中核的自己資本)比率、Tier1(中核的自己資本)比率、CAR(自己資本比率)がそれぞれ8.92%、10.41%、12.67%。前期比では0.23ポイント、0.21ポイント、0.23ポイントの低下となった。

 BOCIは1-3月期決算を受け、20年、21年の利益見通しを1.7%、1.4%引き上げ、小幅に増額修正した。税率と費用対収入比率の想定値引き下げというプラス効果を、NIMと役務取引等利益の下方修正が一部相殺したと説明している。現在株価は20年予想PBR(株価純資産倍率)で0.31倍と、ヒストリカルな低水準。BOCIは同0.38倍をあてはめて目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、この先レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、中国経済の急減速の可能性を挙げている。