止まらない原油暴落、原油先物5月限がマイナスに

 4月20日のWTI原油先物(期近・5月限)は、売りが売りを呼ぶ暴落で、1日で55.9ドル(1バレル当たり)も下がり、マイナス37.6ドルで引けました。先物価格がマイナスで引けるのは史上初です。21日はマイナス幅を縮めましたが、マイナス圏での推移が続きました。

 過去に類を見ない原油の供給過剰が、史上初のマイナス価格につながりました。保管場所が無くなり、行き場のない原油の投げ売りが起こっています。

 4月13日には、OPEC(石油輸出国機構)と非OPECで5~6月に世界供給の1割に当たる日量970万バレルの減産を行う合意が成立しています。ところが、原油の世界需要は、コロナ・ショックにより足元、日量2,000~3,000万バレルも減っていることがわかりました。需要減少に見合わない減産発表が、原油先物がさらに売り込まれる材料となりました。

 原油の暴落スピードはきわめて速く、年初1バレル60ドル前後で推移していたWTI原油先物(期近)は、一気にマイナスにまで下がりました。さすがにマイナス価格は一時的な需給のゆがみによるもので、いずれプラスに戻ると考えられます。

 実際、先物6月限以降は、プラス圏で推移しています。それにしても、解消のメドのない供給過剰が続くので、原油価格の低迷は長引きそうです。