景気てこ入れで3月の金融指標が加速、社会融資規模が増加

 中国人民銀行(中央銀行)が20年3月に国内の金融システムに供給した流動性規模は総額7,506億元に達した。29営業日にわたって公開市場操作のリバースレポ(売り戻し条件付き債券購入)を見送った後、3月末に再開。この際にリバースレポ金利を0.2%引き下げた。流動性の充足を受け、インターバンクの翌日物金利は3月に、1%を下回る水準まで低下している。

 融360のデータを見ると、3月には初回の物件購入者向けの不動産ローン金利が5.45%と、前月比0.05ポイント低下した。下げ幅は2月比で0.04ポイント拡大したが、5年物LPR金利(最優遇金利:人民銀行が毎月集計する金利指標)が0.05ポイント低下したことを考慮すれば妥当。3月末時点で初回および2回目購入時の不動産ローン金利は5.45%、5.77%と、5年物LPR金利を0.7ポイント、1.02ポイント上回る水準だった。

 中国人民銀行が発表した最新の金融指標を見ると、国内金融機関による3月の人民元貸出残高増加額は前年同月比68.6%増の2兆8,500億元と、BOCIの予想(2兆1,000億元)、市場予想(1兆8,000億元)を上回った。3月末の人民元貸出残高は前年同月比12.7%増。短中長期の企業向け一般貸出額の急増と住宅ローンの回復を受け、2月から0.6ポイント加速した。中でも住宅ローン需要の回復は、3月の消費や不動産販売の復調をうかがわせる明るい兆しと言える。新規の企業向け貸出は3月に2兆500億元と、前年同月比で9,841億元増。うち一般融資は1兆8,400億元と、同8,744億元の増加だった。

 一方、3月には実体経済の流動性を示す中国独自の指標、社会融資総量が5兆6,100億元を記録。前年同月比で2兆2,000億元増え、BOCIの予想(3兆2,000億元)、市場予想(3兆1,400億元)から大きく上振れた。一般貸付と債券(政府債、社債の双方)、未割引の銀行引受手形などの増加が寄与。BOCIは4月の人民元貸出増加額について1兆4,000億元を予想(前年同月は1兆200億元)している。

 3月末の人民元預金残高は前年同月比9.3%増と、18年2月以来最も高い伸び。個人・企業双方の寄与で、新規預金が4兆1,600億元と、前年同月を2兆4,400億元上回った。

 銀行が3月に発行した理財商品は4,005種と、前月比24%減、前年同月比63%減。3月29日時点で、3カ月物、1年物商品の予定利率は4.02%、4.14%と、2月23日比で0.02ポイント、0.14ポイント低下した。

 金融関連の最新動向は以下の通り。人民銀は3月16日、中小零細企業向けの資金供給に向け、預金準備率の引き下げを実施した。上場銀行銘柄は3月末までに19年本決算を発表。安定的な配当方針を示し、景気減速下でのディフェンシブ性を裏付けた。人民銀は4月3日、中小銀行限定で預金準備率を計1%引き下げると発表した。中小零細企業の救済に向け、4月15日と5月15日に0.5%ずつ引き下げる方針。