ブーム渦中の都心不動産、コロナ・ショックでやや需給緩むもオフィスビルは堅調
アベノミクスが始まった2013年以降、景気回復と異次元金融緩和の効果で、不動産需給が引き締まりました。コロナ・ショックが起こる直前まで、都市部は、不動産ブームの様相を呈していました。
コロナ・ショックで、オフィス需給はやや緩みましたが、引き続き堅調です。
都心5区オフィスビルの賃料・空室率平均の推移:2004年1月~2020年3月
不動産市況の上昇によって、大手不動産・電鉄・倉庫株などで、保有する賃貸不動産の含み益が拡大しています。賃貸不動産の含み益上位4社を挙げたのが、下の表です。
賃貸不動産の含み益上位4社の含み益:2013年3月~2019年3月
ところが、ブーム渦中の不動産株は、2013年に高値をつけてから、下落が続いています。不動産ブームがいずれピークアウトすることが意識されているため、業績好調でも積極的な投資が入りにくくなっています。
東証不動産株価指数の動き:2004年1月~2020年4月(20日まで)
不動産業は市況産業です。過去に、不動産市況の上昇下落に対応して、ブームと不況を繰り返してきました。過去を振り返ると、1973年・1990年・2007年に市況のピークがありました。1973年は列島改造論のブームの中で不動産市況が高騰しましたが、オイルショックが起こると崩落しました。1990年の不動産バブルは90年代に崩壊しました。2007年の不動産ミニバブルは2008年のリーマン・ショックで崩壊しました。
学習効果で、投資家は、ブームのときに不動産株を買わなくなったのです。ただし、私は、やや警戒過剰に陥っていると思っています。