新型コロナでネット利用拡大も減収圧力、娯楽やゲーム部門に底堅さ

 中国では2月10-16日週に、アクティブユーザーの1日当たりモバイル・インターネット利用時間数が平均7.6時間に達した。新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、19年の平均6時間を上回った。旧正月休暇の延長期には、ショートビデオやモバイルゲーム、ニュースなどのトラフィックが増加。さらに休暇明け後も、在宅ワークとオンライン授業の影響でトラフィックの拡大が続いた。ただ、利用時間数の伸びにもかかわらず、BOCIはほぼ全てのサブセクターが、20年1-3月期に売上圧力に直面するとの見方だ。新型コロナの副作用の大きさという点では、O2O>デジタル広告>ネット通販>オンラインエンターテイメント>オンラインゲームの順になるとみている。

 まずゲーム部門について、BOCIはアクティブユーザー基盤が大きくかつARPPU(課金ユーザー1人当たり平均収入)が低いMOBAやFPS(ファーストパーソン・シューター)のほうが、MMORPGやSLG(シミュレーションゲーム)より有利とみる。一方、一部作品のリリースはすでに遅れ、新規タイトルの投入ペースは減速する見込み。

 オンライン娯楽(ゲームを除く)は、ライブストリーミングでは高ARPPUチャンネルが汎用チャンネルをアンダーパフォームすると予想。また、ストリーミングでは、音楽、動画の双方において、広告ビジネスの苦戦と定額制サービスの好調を見込む。

 ネット通販は、1-2月のモノの売上高が前年同期比3.0%増(19年は前年比19.5%増)。小売売上高全体の20.5%減に比べ底堅かった。食品・飲料が26.4%増、日用品が7.5%増と必需品が好調で、アパレルの18.1%減などが足を引っ張った。また、新型コロナの影響でサプライチェーンと物流は一時壊滅的な打撃を受けたが、物流はその後急速に回復し、3月8日時点の貨物配達能力の回復率は80%強(国家郵政局調べ)。BOCIは自前の倉庫・物流プラットフォームを持つ通販事業者のアウトパフォームを予想している。

 O2Oビジネスでは旅行、特にアウトバウンドの回復に時間がかかる見込み。オンライン出前に関しては、供給側の回復ペースが需要を上回り、3月29日現在、大手プラットフォームが受け付けた注文量は平常時の75%まで戻った。

 デジタル広告は新型コロナによる不透明感が依然強い。日用消費財、自動車、携帯端末などの大口顧客が広告キャンペーンの延期や休止を決めたため。種類別では、ブランド広告がネット通販広告や成果報酬型広告をアンダーパフォームする可能性が高い。

 BOCIはビジネスの正常化までに要する期間やダメージの度合いに関して不透明感がくすぶるとした上で、収入回復力が高く、キャッシュポジションとキャッシュフローが力強く、かつ株価バリュエーションの点からディフェンシブ性が高い銘柄に注目。Bilibili(ナスダックBILI)、テンセント・ミュージック・エンタテインメント(NY証取TME)、アリババ集団(香港09988)、JD.com(ナスダックJD)などを選好している。