天津市南港に大型LNGターミナル建設、北京以外のガス市場開拓へ

現地コード 銘柄名
00392

北京控股

(ベイジン・エンタープライズ)

株価 情報種類

26.80HKD
(4/9現在)

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 北京控股の全額出資子会社である北京市燃気集団(Beijing Gas)が、天津市南港でのLNG(液化天然ガス)ターミナル・プロジェクトをめぐり、国家発展改革委員会の認可を獲得した。この新規プロジェクトはガス貯蔵要件を満たすだけでなく、北京市以外での川中、川下ビジネスの開拓を後押しする見込み。BOCIは同プロジェクトによる収益貢献を今後反映させるとし、現時点では目標株価を維持。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 新たなLNGターミナルの所在地は、天津市濱海新区の南港工業区。年間の処理能力は500万トンで、ガス貯蔵能力は10億立方メートル。20万立方メートルの貯蔵タンク10基を備える。ほかにターミナルと北京郊外(北京大興国際空港近辺)を結ぶ全長229キロメートルのパイプラインを建設する計画であり、年間輸送能力は45億立方メートル。22-24年にかけ、3期に分けてプロジェクトを進める。

 総工費は192億6,000万元。北京市政府が投資額の約30%に当たる578億元を無償で提供する。同社は投資額の20%を内部資金で賄い、残りは低コストの借入れを利用する計画という。

 北京市における冬場の天然ガス需要の急増に備え、新ターミナルはピークシェービング(エネルギー消費のピーク時への対応)機能を保有。北京市政府は有効資産を基準とした収益率7%相当、あるいはエクイティーIRR(内部収益率)約11%を基準にリターンを保障する。同社のガイダンスによれば、プロジェクトの年間純利益は約5億元に上る見込み。実際の利益水準が保障レベルに届かなければ、北京市側はガス料金の値上げを通じて補償することになる。中国国内ではこの先、さらなるLNGターミナルの増設や長距離ガスパイプラインの一体化(1つのグリッドへの統合)が進む見込み。BOCIはLNGターミナル間の競争が激化する可能性を挙げ、こうした利益保障の重要性を指摘している。

 同社は長期のLNG輸入契約の締結を目指す方針。ガス価格は現在低水準にあり、低価格でガスを確保するための好機となる。新たなLNGプロジェクトはまた、天津市や雄安新区(河北省に創設された国家級新区)といった北京周辺エリアの川下ガス市場、およびLNG市場の開拓を後押しする見込み。

 BOCIが今回据え置いた目標株価はSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づくもので、1株当たりNAV(純資産)に対して46%のディスカウント水準となる。BOCIはレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、北京市燃気集団の利益率が一段と低下する可能性と、新型コロナウイルスの影響で傘下の独EEWの事業が混乱する可能性を挙げている。