本記事は2018年11月7日に公開したものです。

 株式市場が激しい変動を見せています。現在の市場環境で、投資を行っている人の中には、評価損が発生している方もいると思います。しかし、長期積立投資を行っている方は、投資を止めず、継続していただきたいと考えています。
 そこで今回は、下げ相場での長期積立投資について書きます。

投資対象の価格が最終的に上がるなら、下落局面での投資ほどリターンは大きくなる

 下のグラフをご覧ください。 

グラフ1 積立投資のそれぞれの月に投資したお金の直近までのリターンと海外株価指数の推移

※海外株価指数(左軸)は、MSCIコクサイ指数(為替ヘッジなし)を1998年9月末を1として指数化。直近までのリターン(右軸)は同じ指数を使い、計算(=直近株価÷投資した時点の株価)
※MSCIコクサイ指数とは、日本を除く先進国株式投資の物差し(ベンチマーク)となる株価指数

 積立投資は、毎月決まった金額を投資していきますが、グラフ1はそれぞれの月に海外株式に投資したお金が直近までに何パーセントのリターン(利益)を上げたかを、海外株価指数の値動きと並べて表示しています。

 折れ線(左軸)は海外株価指数で、棒グラフがそれぞれの月に投資したお金の貯金までのリターンです。具体的には、以下のとおりとなっています。

 折れ線グラフの株価と、棒グラフの直近までのリターンを比較して見ると、実は、動きが逆になっています。

 その理由は、最終的に直近の株価が上がっているため、投資した時点の株価が低いほど、リターンが高くなっているからです。つまり、株価が下がっている局面で投資すればするほど、リターンが高くなっているわけです。

 もちろん、株価が下落し続ければ、毎月の投資はマイナスになります。しかし、「世界経済の拡大と歩調を合わせ、金融市場は拡大する」というこれまでのセオリーが継続するのであれば、世界経済の成長の恩恵を受けられるように幅広い資産に長期で分散投資することでプラスリターンを獲得できる可能性が高いと考えられます。

 また、繰り返しお伝えしてきているように、分散投資を行なうことが大切です。日本株だけに投資する、あるいはロボット関連などあるテーマやセクターだけに特化して投資するのは、長期的にプラスリターンを得られる可能性が高いとは言えず、お勧めしません。
 また長期投資は、筆者の感覚では10~20年の投資です。1年や2年の投資は短期投資であり、投機でしかなく、本気で資産形成を考える人にはお勧めしません。

 話を積立投資のリターンに戻しましょう。

 投資でリターンを上げるには、当たり前ですが、安く買い、高く売ることが重要です。グラフ1では、直近まで株価が上昇しておりますので、安く投資するほど、最終的な利益が大きくなります。

 しかし、積立投資では、機械的に毎月投資するだけで投資タイミングは計りませんし、株価がどこまで上がるかも分かりません。

 従って、ただ自分自身が投資を最終的に回収するまでに、株価は上がると信じ、できるだけ安く買えることを期待して毎月投資し続けることになります。
 筆者も積立投資をしていますが、「株価の下落局面は安く投資できる局面が来た」と思っており、別に慌てることはありません。むしろ、積立投資で成功するには、下落局面も必要と考えています。